発達にでこぼこのある一人っ子はわがままが目立ってしまうことがあります。その大きな理由は、お母さんの「注目」の仕方にありました。やり方次第で脳をグングン育てることができる「注目」を正しく使って、一人っ子へ生きていく力を授けましょう。 |
発達でこぼこ一人っ子は「わがまま」が目立ってしまう?
現在、女性の社会進出や家族の在り方の変化など、さまざまな要因から一人っ子の割合がどんどん増えているそうです。5人に1人は一人っ子と言われており、令和になった現代ではけして珍しいことではありません。
一人っ子と言えば、「優しい」「自己肯定感が高い」などいいイメージもありつつ、「わがまま」「マイペース」「協調性がない」といった風に良くないイメージを持たれていることも多いようです。
子どもが育っていくときは周囲の環境をとても大きく受けるので、一人っ子なのか兄弟・姉妹がいるのかの違いで、性格の傾向に偏りが出てきてしまうことは否定できませんよね。
育ち方が違うといった背景もある中で、「わがまま」「マイペース」「協調性がない」といった、一人っ子によくあると言われている特性は、発達のでこぼこをもつことによって目立ってしまうことがあります。
それはなぜなのか?じゃあ彼らをどのように育てていけばいいのか?というハテナを解決していきたいと思います。
うちの子、育てにくい…?とても大切なお母さんの感覚
我が家には、とてもかわいい一人っ子長男がいます。まわりにいるたくさんの大人にかわいがられ、愛情をいっぱい受けてすくすくと育ちました。
幼児期の息子は、自由気ままに、あちこちに愛嬌をふりまくものの、言葉の発達が遅くなかなかコミュニケーションがとれませんでした。
周囲からは「兄弟がいないし刺激が少ないのかも」と言われたり「2人目が生まれたらまた変わるかもね」と言われたり…。
周囲の励ましの声かけも、どこか一人っ子であること自体がダメであるかのように言われているように聞こえ、たった一人の子どもに手をやいている自分に自信がなくなってしまいました。
一人っ子は、比較する兄弟・姉妹がいない分、子育てってこんな感じなのかな?と思い込んでしまって、でこぼこに気づきにくいということがあるかもしれません。
私自身も、息子を保育園に入園させて、他の子どもたちと一緒に過ごしているのを見たときに初めて違和感を覚えました。
できないことも多いし、コミュニケーション力や手先の器用さなど、明らかにまわりと差がある息子。
認めたくないけれど、集団に入って初めて「うちの子、なんか育てにくい…?」と感じるようになりました。
幼いうちに、こういったお母さんの感覚を信じて対応することはとても大切なことだと思います。
「育てにくい」と感じる子どもに始めてほしいコミュニケーションはこちら▼
3歳からはじめよう|癇癪ぐずりをピタッと止めて発達をグーンと加速する!「育てにくい子」を卒業するための3ヶ月計画
子どもの成長に大きく関わるお母さんの「注目」
子どものどんな行動を見ていますか?
発達のでこぼこが大きいか小さいかに関わらず、一人っ子の特徴としてお母さんの愛情をひとり占めできるということが挙げられます。
もしかしたら、兄弟姉妹の多い家庭の子どもにとってはうらやましいことかもしれません。
弟や妹が生まれることによる赤ちゃん返りも、兄弟でおもちゃの取り合いでけんかになって怒られるということも、お兄ちゃんなんだから我慢しなさいと言われることも、まったく関係ありませんよね。
子どもにとってお母さんをひとり占めできるということは、お母さんにとっても一緒です。
子ども一人だけを見てればいい。この「どのように子どもを見ているか」ということが、将来子どもがどんな風に育っていくかを大きく左右します。
あなたは、子どものどんな行動に注目しているでしょうか?少し例を出して考えてみましょう。
お母さんの「注目」は子どもにとって「ご褒美」になる
子どもが、スーパーのお菓子売り場で「お菓子を買ってほしい」とぐずり、大きな声で泣き出したとします。
お母さんは周囲に迷惑をかけちゃいけないと、子どもに注目して反応します。例えば、「ダメに決まっているでしょう!」と叱ったり、買う予定のなかったお菓子を要望通りに買い与えたり…。
もしこのように対応しているお母さんがいたら要注意です。
叱るという行動ですら、お母さんの注目は子どもの脳にとってご褒美になりかねないからです。
どういうことかと言うと、
- 大きな声で泣けばお母さんがこっちを見てくれた
- むしゃくしゃした感情をお母さんにぶつけてスッキリした
- 大きな声で泣いたらお菓子を買ってもらえた
…というポジティブなイメージが無意識に子どもの脳に記憶されるのです。
そして、またこのご褒美を得ようとスーパーのお菓子売り場で泣くという行動を繰り返してしまうのです。
発達のでこぼこのある子どもは、特性のために「叱られると分かっていてもまたやってしまう…」ということもあります。そのうち叱られることに慣れっこになってしまう場合もあるので注意が必要です。
子どものため?やり方を間違うと逆効果!
一人っ子の環境だと、お母さんが子どもの相手をする状況がとても多くなります。注目の仕方を間違ってしまうととても危険です。
前例と同じようなことを日々繰り返すことによって、「わがまま」「マイペース」「協調性がない」と言われかねない脳がどんどん育ってしまうのです。
発達にでこぼこがあって、自分の感情のコントロールがうまくできなかったり、衝動性が高かったりすると、お母さんの注目を浴びる機会が増えることになり、どんどん好ましくない行動が目立つようになる可能性があるのです。
困りごとが多い分、叱り飛ばすことが日常になってしまっている一人っ子のお母さん。
子どものためにと思ってやっていることが逆効果になってしまっているかもしれません。今すぐに関わり方を変えていくことが必要です!
「注目」を正しく使えば一人っ子の脳がグングン育つ!
それでは、一体どのように関わっていけばいいのでしょうか?
一人っ子の子育ての明暗を分ける一番のポイントは、お母さんの注目をうまく使うということです。
好ましい行動だけに注目して、ほめる
好ましくない行動には注目せず、好ましい行動に注目すること。こうすることで、良い行動が増え、良くない行動は減っていきます。
例えば先ほどのスーパーの例だと、大きな声で泣くことには注目せず、気分を切り替えられたときに「我慢ができたね」と声をかけるということが正解です。
注目しなかった「大きな声で泣く」という行動は次第と減っていき、注目した「我慢ができた」という行動が増えていきます。
目が届きやすい分、すべての行動に注目しがちな一人っ子のお母さん。ぜひ、好ましい行動だけに注目してほめる!にチャレンジしてみてください。
わがままにならない「抱っこして」「これやって」への応え方
これに応じ続けることで、わがままになってしまうんじゃないか…と思いますよね。でも、心配ありません。子どもが甘えてくるときはぜひ応えてあげてください。
特に、「お母さん、抱っこして」などスキンシップを要求してくるときはしっかり応じてあげましょう。子どもが「もう触らないで!」と言い始める年齢まで、しっかり触れ合ってください。
こうすることで子どもの心は満たされ、大人へと向かって自立しはじめます。抱っこなどのスキンシップがわがままに直結することはないので安心してください。
また「お母さん、これやって」も、上手に応じてあげましょう。
ポイントは「うん、いいよ。その代わりにこっちをやってくれる?」と、子どもの要求に応じつつ、次の行動に誘うこと。
こうすることで「受け入れてもらえた」という満足感から、次の行動を引き出しやすくなりますよ。
一人っ子、最強!だと思って子育てしよう
正しく注目を与えることができたら、一人っ子は最強かもしれません。一人っ子の環境の強みを生かしましょう。
すべてのコミュニケーションはお母さんと1対1のコミュニケーションが原点になります。
お母さんとの1対1の関係をお手本にして、子どもはまわりのお友達や学校の先生との関係を学んでいきます。
兄弟姉妹がいなくても、お母さんとじっくり1対1でコミュニケーションの成功経験を積むことができれば、一人っ子の子どもの脳をしっかり育てることができます。
そして、1対1でとことん向き合って肯定的な関わりを続けていくことで、子どもの心が安定するだけでなく、好ましい行動がどんどん増えていきます。
肯定されることで自信ができて、もっともっと行動できるようになっていくのです。このように、自分を信じて行動できる力は、生きていく力になります。
自信をもって子育てしましょう。
親子のスムーズなコミュニケーションは、子どもの発達を加速する最高のサプリメントです。ぜひ、試してみてくださいね。
執筆者:大塚 ひかり
(ななほしママライター)
▼今、動き始められるかどうかが子どもの将来を変える!