幼稚園から小学校に上がると起こること。発達障害・グレーゾーンの新1年生の小学校生活を支えるおうちでのサポートとは?

幼稚園から小学校に上がると、発達障害・グレーゾーンの子どもにどんな変化が起こるのか知っていますか?元スクールカウンセラーで現場を見てきた私が、お子さんをどのようにサポートしていけば良いのか、おうちでできることと先生との連携についてお伝えします。

幼稚園から学校へ上がったとき、どんな変化が起こるの?

入学式が終わってから1週間ほどが経ちました。新一年生の学校生活も、本格的にスタートしてきたことでしょう。
お子さんは、少し疲れが出てきていませんか?
それもそのはず。保育園や幼稚園での生活と、小学校生活は大きく変わります。
保育園・幼稚園から小学校へ、劇的な変化を経験しているお子さんが、より安心して小学校生活を送るために、家庭ではどんな対応を進めていくと良いのでしょうか?
スクールカウンセラーとして小学校の現場を見てきた私の経験から、園から学校への変化ポイントを整理していきたいと思います。
まず起こるのは、環境の変化
・登校時間が幼稚園よりも1時間近く早い!(生活リズム自体を変える必要がある)
重いランドセルと荷物を自分で持って、交通情報を把握しながら歩いて登下校する!
・机とロッカーの使い方があり、提出物の出し方や歯ブラシボックスまで、管理するべきモノと場所が複雑になる!
・クラスの数と人数が増え、先生の人数もざっと5倍になる!
・時間割りがあり、トイレに行ける時間も決まっている
・1日の大半は座って勉強しなければならない!
・授業中は勝手に教室から出てはいけない!
・給食があり、残してはいけない
・疲れていてもどんなに荷物が重くても、全部自分で持って歩いて帰って来る!
……いかがでしょうか?
在籍していた幼稚園の規模や地域、入学する小学校の規模や慣習などによっても異なりますが、ざっと書き出しただけでもこれだけの変化に、入学式の翌日から適応していくことを子どもたちは求められるのです。
ほんの小さな変化でも、子どもにとっては緊張の連続です。
ADHDタイプのお子さんが小学校に上がったときに起こることはこちらの記事でまとめています▼

慣れないことばかり!とにかく疲れる発達障害・グレーゾーンの新1年生

私がスクールカウンセラーをしていたとき、「トイレに行きたい」と先生に言うタイミングがわからず間に合わなくて、そのショックで不登校になりかけたお子さんがいました。
1年生の1学期はみんな、学校での集団生活を1日過ごすだけで「ヘトヘト……」というのが正直なところなのです。
ここへ、発達の特性が加わっていったら…
・一生懸命やってもうまくいかない
・気をつけていても忘れ物をしてしまう
・必死でお友達の名前を覚えようとしても、どうしても覚えられない
・必死で座ろうとしても、どうしても動きたくなってしまう
ということが起きてきます。
本人が限界まで頑張っていても、苦手が重なることで周囲からは「はみ出している」ように見えてしまうかもしれません。
もしも、お母さん自身がお子さんと同じような環境の変化に、この春ポーンと放り込まれて、
「さあ明日から、みんなに遅れないようにちゃんとやってくださいね!!」
「気合ですよ、気合!!」
「そのうち慣れます!!」
なんて言われたらどうでしょうか?
こんな大きな変化の中にいるとき、どんな風に声をかけてもらい、どんな風に家で過ごすことができたら、心がホッとしますか?

まずは1週間!お子さんを支援する2つのポイント

幼稚園から小学校へ上がったとはいえ、お子さんは生まれてからまだ6年しか経っていないわけです。
子どもの世界に少し想像力を働かせ、小学校生活をどう支えてあげようか?そんな風にお母さんが思ってくれたなら、きっと誰よりもお子さんが嬉しいですよね!
そう思っていただけたお母さんに、今からでもお家でできる2つのことをお伝えします。

①お母さんの肯定的な関わりでお子さんの気持ちを安定させる

私はもともと、子どもの発達障害が専門の臨床心理士として、現場の先生たちの相談に乗る仕事を10年近くしてきました。
私が現場で耳を傾けつづけた先生たちの「ホンネ」。
先生が「協力したいな」と思う保護者にはある共通点があるのです。「このお母さん、しっかり対応しているな~」と、先生が思うポイントはズバリ!
『子どもの気持ちが安定していること』
そして気持ちの安定は、「脳」を意識するとうまくいく!のです。
子どもの脳はポジティブ(肯定的)なコミュニケーションに最もよく反応することが科学で証明されています。
まずは1週間、以下のポイントでお母さんの肯定力を高めましょう。
・「何を書いたの?」「これは何ていうの?」など、興味や関心を示す
・朝起きたら「自分で起きてきたんだね~」「着替え準備したんだね!」など、気づいていると知らせる
そしてなによりオススメなのが「スキンシップ」をたっぷりとること!
特に発達でこぼこの子どもたちは、叱る、しつける、怒鳴るなどのネガティブなコミュニケーションではうまく脳が育たないことがわかっています。
しっかりとお子さんのことを肯定し、脳自体を発達させるコミュニケーションをお母さんが身につけることでお子さんの脳も発達し、情緒の安定した状態を作ってあげることができるようになりますよ。

②「先生を味方にしてしまうお母さん」になる

次に、お母さんがお子さんの特性をしっかりと理解してあげましょう。
苦手なことと得意なことを整理して、学校で支援してもらいたいポイントを一つに絞ります。
そして、お家でやるべき肯定的な対応をきちんととり、その上でお子さんの様子を先生に伝えます。
例えば、
・初めての環境に慣れることがとても苦手
・不注意傾向が強く、大勢の中での指示は聞きもらしやすい
などです。
お子さんの苦手なことが理解できないと、お母さんのストレスや不安の原因となります。
①「お家でしっかり対応している=肯定している
②「我が子の特性を冷静に客観的に理解している=子ども理解
これらをクリアしていれば、お母さんと先生との連携力は格段に上がります。
先生を味方につけて、お子さんの新生活をしっかりサポートすることを成功させましょう!
執筆者:石澤かずこ
(お母さんの小学校★ななほし代表)
▼自身も小学生の子育て中!経験談から子どもを伸ばす秘訣を発信中です
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