発達障害・グレーゾーンの子どもが小学校入学までにできるようにしたいこと〜「聞く力」を身につけよう!

発達障害・グレーゾーンの子どもに、小学校での生活や学習がスムーズにいくよう準備をしてあげたい!と思っているママへ。もし小学校入学までにできるように何か準備するとしたら、「聞く力」を授けてあげてください。その理由と遊びで鍛える方法をお伝えします。

幼稚園・保育園生活と小学校生活の違いとは

新しい環境になれるのに時間がかかる発達障害の子どもたちは、私たち大人が考えているよりも多くのストレスを受けます。
さらに新1年生の学校生活は、幼稚園や保育園の生活とはガラっと変わります。普段使う脳の場所もガラッと変わるということが起きてきます。

こちらの記事で詳しくお伝えしています▼

小学校で大切になる脳のエリアは「聞く力」

さて、小学生それも低学年のうちに最も大切になる脳のエリアは、ズバリ「聞く力」のエリアです。
特に、小学生の最初にこの「聞く力」の弱さに気づかず、知らず知らずのうちにつまずきが大きくなります。
後々の学習やお友達関係など、学校生活全般に影を落としてしまう発達障害・グレーゾーンの子どもたちって実はとても多いのです。
「聞く力」は学校で生き抜くにはとても大事であるにもかかわらず、苦手であること自体に気づかれにくいのです。

「小1プロブレム」の原因は「聞く力」の弱さ!?

小学校1年生の児童が「授業中に勝手に歩き回る」「先生の話を聞かない」といった学級崩壊を招く「小1プロブレム」という言葉が、教育の現場では問題になっています。
先生方は立ち歩かないためにはどうしらいいのか?どうしたら先生の話を聞けるようになるのか?と必死に考えます。
しかし、この子どもたちの困った!行動の本質がどこにあるのかを見つけなければ、その場しのぎの対応になってしまい全く解決できません。
実は、小学校の低学年で起きる「困った!」の背景には、子どもたちの「聞く力」の弱さ(=脳の未発達)が大きく関連しているのです。
そして「聞く力」を育てて貰えないまま大きくなった子どもたちは、高学年で 勉強が遅れたり、勉強嫌いになったり、学校が嫌いになったりといった「困った問題」として表面化することが多くなってしまいます。
しかも、「聞く力」が苦手なことになかなか気づかれないという要因をはらんでいるのです。

小学校生活で「聞く力」が必要な理由

なぜ、学校で「聞く力」が重要になるのかについて具体的に解説します。

小学校生活のほとんどは「耳から」入ってくる情

まずは、小学校の1日を思い浮かべてみましょう。朝登校して、自分のクラスに入り朝の会が始まります。
日直が挨拶し、みんなは自分の席でじっと先生や日直の「言葉」を聞いています。
朝の会が終わり、授業が始まると、教科書は使うものの、先生の指示や学習指導はほぼ「言葉」を介して子どもの脳に届きます。 
1年生の初めは、学校探検をしたり、自分の持ち物の管理を習ったり、と体を動かしながら実践しながら学ぶ時間は少しだけあります。
しかしながら、ほとんどの時間を先生の「言葉」と、黒板に書かれた字と、教科書の文字から「学習」する時間を過ごします。
学校生活では、ほとんどの重要な情報が「耳から」入ってくる情報なのです。

発達障害・グレーゾーンの子どもは「聞く力」が弱いことが多く、自信をなくしてしまう

「聞く力」の弱い発達障害・グレーゾーンの子どもたちは、初めは必死で聞こうとしていてもその内に先生の言葉についていけなくなります。
ついていけなくなるとフワ〜っと自分の頭の中をさまよったり、自分の世界に入ってしまうタイプの子がとても多いです。
「聞く力」の脳のエリアは脳の中で情報の入り口のような役目を果たしています。
入り口でつまずいた情報は、うまく脳の奥に届くことはなく、理解・推論・記憶・思考といった高度な脳のエリアが働かないまま終わってしまいます。
すると、何度言っても理解できない、考えられない、身につかない・・・ということが起こってしまいます。
勉強の遅れにつながったり、「ちゃんと聞きなさい!」と怒られることにつながったりします。
本人もサボっているわけではないのにうまくいかないので、やっぱり僕ってダメやなつ・・・ と発達障害・グレーゾーンの子どもの自己肯定感が下がっていきます。

小学校入学までにできるようになっておきたい!「聞く力」を鍛える遊び

「聞く力」が育ちづらい要因は2つ考えられます。
一つは、本人の発達障害の元々の「特性」として聞く力の弱さが潜んでいるということ。
そしてもう一つは、お家の中が、聞く力が育ちづらい「環境」になってしまっていることです。

「聞く力」はおうちで、お母さんとのコミュニケーションで育てることができる

ですが、安心してください。「聞く力」はお家でお母さんとコミュニケーションを通して学ぶことができます。 
我が家には2人の娘がいます。長女は「聞く力」がちょっと弱いです。
例えば、家族で会話をしていても全然違う話題を急に話始めたり、途中から聞いていなくて、「え?なんの話!?」となることが多いです。
学校でも、「先生はなんて言っていたの?」と連絡帳を見ながら質問するとまず100%、「さあ?」という答えの返ってくる子です(苦笑)
元小学校教員の夫と相談し、昨年のコロナ休校中は長女の「聞く力」を鍛える時間にしよう!と作戦を立てました。
苦手な脳の場所をダイレクトに鍛えるのは、ものすごい苦痛を伴います。
大人だったら、「100万円を積まれても絶対にやりたくないこと」 これが、脳の未発達なところをダイレクトに伸ばそうとする方法です。
子どもはそんな苦痛に耐えられるはずはないので、遊びに混ぜながら楽しく取り組むのが大事なポイントです。

お散歩しながらできる!「スリーヒントクイズ」

それでは、我が家で毎日のようにやっている「聞く力」を育てる遊びをご紹介します。
ただし!この遊びを取り入れるには以下の条件がちゃんと整ってからにしてください。
・日常の中で子どもを叱ることはない
・親子の会話はいつも穏やかである
つまり、親子のコミュニケーションが安定している状態を作ったうえで取り組める、上級者向けの遊びだと心に止めておいてください^^
(叱ったり、親子ゲンカしたり、言い合いがあるうちに導入すると、余計に親子関係がこじれるばかりか「聞く力」の成長にもマイナスです。)
子どもたちのはまっている「クイズ」の中でも、毎日1〜2時間家族で外を散歩している習慣を使って行なっているのは、「スリーヒントクイズ」です。
3つヒントを聞かないと正解にたどりつけないクイズで、例えばこんな風にやります。 「それは、赤いです」 「それは、果物です」 「それは、白雪姫に登場します」
これを2時間の散歩中、延々とやっています(笑) クイズを考える私たちの脳も鍛えられます!
始めた頃の長女は、見事に最後のヒントしか聞いていないので、上のクイズに対して「小人!」と答えていました(笑)
一方、2つ下の次女は聞く力が比較的得意なので、「りんご!」と的確に答えます。
(自分が一番になりたい次女には、「お姉ちゃんと一緒に言えたらボーナスポイントね!」とお姉ちゃんを応援することを強化します。 )
長女には、「よ〜く聞いてごらん。」ともう一度ヒントを繰り返したり、ヒントの順番を入れ替えたりして、3つのヒントを注意深く最後まで聞けるようにエスコートします。
ちゃんと正解に辿り着けるように、長女の様子に合わせて追加のヒントを入れたり、ヒントを簡単にする工夫も忘れずに。
目的は、「ちゃんと聞けたね!」と成功体験で終わってあげることです。
いかがでしたか?脳科学に基づき親子の信頼関係を作っていくことで、我が子の苦手な力を、遊びを通して発達させることができるのです。
「うちの子、聞く力がちょっと苦手かも…」と感じたときには、小学校入学までにできるようにまず遊びの中で「聞く力」を伸ばしていってくださいね!
聞く力を育てる遊びは、こちらの記事でも紹介しています▼
執筆者:石澤かずこ
(お母さんの小学校★ななほし代表)
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