発達障害・グレーゾーンの子どもを育てるご家庭に勧めたい、おうち避難訓練〜災害時に本当に必要なこととは?

あなたのご家庭では、災害への備えをしていますか?発達障害・グレーゾーンのお子さんを育てるママの場合、我が子に合った物資とともに、日頃から備えてほしいことがあります。発達でこぼこの幼児二人と在宅避難の訓練を行なった経験をもとに、お伝えします。
 

災害が起こったときの備え、していますか?

日本はもともと、地震や台風を始めとした災害の多い国です。

近年は局所的な大雨も増えてきており、どの地域に住んでいても「人ごとではない」と感じている方が多いことでしょう。

あなたは、災害に備えて、日頃からどんな準備をされていますか?

9月1日は防災の日でしたから、この機会に、備蓄品や避難した場合の集合場所など、災害時の備えを確認された方も多いかもしれませんね。

もし、発達障害・グレーゾーンの子どもと一緒に避難生活を送ることになったら

この記事を読んでくださっているお母さんは、発達障害やグレーゾーンといった発達に特性を持つお子さんが多いことでしょう。

・いつもと違うことが苦手
・不安が強い
・こだわりや偏食がある
・感覚が過敏

など、子どもたちの持つ特性は様々ですが、

もし、そんなお子さんたちとともに被災し、避難生活を送ることになった場合、どんな困難に直面するか…想像したことはありますか?

また、学校や幼稚園の集団生活の中では避難訓練が行われていますが、家庭での避難訓練をしたことのある方はもしかすると少ないかもしれませんね。

我が家も、6歳の娘と3歳の息子の二人の幼児がいますが、必要な物資の備えはしていても避難訓練をしたことはありませんでした。

もしものとき、子どもたちを守るために。

今はコロナ禍ですから、もし被災した場合は感染予防のために在宅避難する可能性も高いことを考え、おうちで避難生活を送ることを想定した訓練をしてみました。

訓練をしてみると、災害時に本当に必要なことが見えてきましたので、この記事でご紹介したいと思います。

不安の強い我が子とおうち避難訓練をして気づいたこと

我が家の6歳の娘は、活発なADHDタイプ。

明るく心優しい子ですが、衝動的に行動しがちで不注意な部分もあり、本人は悪気は全くないのにやらかすことが多く、叱られる場面が増えてしまいやすい子です。

それに加えて、いつもと違う状況や初めての出来事や場所・人が苦手という、不安の強い特性もあります。

3歳の息子は、今のところ目立った発達の困りごとはありませんが、体質的に食物アレルギーや喘息があり、偏食の強い子です。

そんな我が子たちとのおうち避難訓練
いつもより涼しかった8月のある日、「電気がつかない!ガスも、水道も使えない!」という設定で半日ほど過ごしてみました。

気づき①「いつもと違う」が思ったよりたくさんある

<食べ物、飲み物>
備蓄してあったアルファ米を食べてみました。

大人の感想は「思ったより美味しかった!」でしたが(笑)、
子どもたちは「これは美味しくないからいらない」「においが嫌い」と拒否したり、息子に至っては食べてはいけないアレルゲンの入った食品もありそもそも食べられない…というものが多くありました。

また、出来上がるまでに時間がかかり、「お腹すいた〜〜まだ〜〜・・・・?」と我慢のできない幼児の我が子のストレスはどんどん高まっていきました

このとき、普段食べ慣れているものや好きなおやつや飲み物があると、とても安心すると感じましたし、すぐに食べられるものがちょっとでもあると良いなと思いました。

また、偏食や食にこだわりのあるお子さんや、息子のようにそもそも食べられないというものがあるお子さんにとっては、「これなら食べられる!」というものを少し多めにストックしておくと安心です。

<光、におい、気温、湿度など、感覚の刺激>
訓練は日中に実施しましたが、曇っていたため家の中が思ったより暗かったです。そのため、懐中電灯やランタンをつけてみると、いつもと違う光の刺激に結構疲れました。

普段から光への過敏さのあるお子さんの場合は、電灯を備える際、明かりの色や強さなどが刺激にならないか、気をつけて選んであげると良いかもしれません。

また、その日は8月でも気温が低くエアコンいらずの日でしたからまだよかったものの、これが暑い日で湿度も高かったら、不快指数はものすごく高かったと思います。

発達障害・グレーゾーンの子どもの中には体温調節や体調管理が苦手な特性を持つ子もいますから、不快感を少しでもなくせるよう、

電気がなくても涼しくできるポータブル扇風機やうちわ、冬場ならカセットガスで使えるストーブなどの備えがあると良いでしょう。

<トイレ>
非常用トイレセットを備えていたので、この機会に家族で使用してみました。結果、大人でも、初めて使用するときはものすごく抵抗がありました

発達障害であってもなくても、幼児のうちは排尿のコントロールが難しいものですし、「このトイレは怖いからできない」というお子さんもいらっしゃることと思います。

備えておくだけでなく、試しに使用してみて慣れておくことはとても大切だと感じました。

また、災害時は「トイレが使えないから回数を減らさないと」という意識が働きますが、トイレに行くことは人間の生活になくてはならないことですし、生理的なことを我慢しなければならないことはものすごくストレスが高まります

想定している数より少し多めに簡易トイレなどの備えをすることで、「もったいないから使えない」という意識を捨てられると、ストレスが軽減されると感じました。

また、トイレとは別の話になりますが、手洗いが日常化したこのコロナ禍で、水で手が洗えないことはとても大きなストレスでしたので、
我が家では、この訓練をきっかけにウエットティッシュやアルコール消毒液の備蓄を増やしました。

気づき②大人も余裕がなくなって、つい叱ってしまう…という場面が増える

「いつもと違う」がたくさんあることで、大人の私自身が「こういうときどうしたらいいんだろう」「〇〇が足りない」などとストレスを感じ、心の余裕がなくなりました

娘の不注意で食べ物をひっくり返した場面で、「もったいないでしょう!もっと気をつけなさい!」と叱ってしまったり

いつもと違うもの(テントや懐中電灯など…)にワクワクして騒がしくなった子どもたちにイライラしたり

「お腹すいたから早くしてよ〜」と言う子どもたちに「ちょっと待ってってば!」と語気が強くなってしまったり

また、こんな非常事態でも子どもたちはある意味いつも通りで、「そっちを使いたいのにお姉ちゃんが取った!」「こっちを私が食べたかったのに弟が食べちゃった!」などと普段通りの喧嘩が起こりました。

我が家はいつもなら喧嘩が起こっても二人で解決させますが、「こんなときくらい仲良くして、協力してよ!」とついイライラと口出しをしてしまいました。

今回はたった半日の、しかも夏でも涼しい日の昼間という好条件での訓練
それでも、大人にとってもいつもと違うことの積み重ねは、大きなストレスでした。

子どもの体や心を守るためには大人の安定が必須です。

避難生活を送るときには、「大変な状況を頑張っている!」と、大人である自分自身のこともしっかりいたわってあげることが大切ですし、

その上で、必要以上に子どもを叱ってしまうことのないよう上手に感情コントロールする方法を身につけておくことが大切だと思いました。

「もしものとき」の困りごとを少しでも減らすために。日頃からやってほしいこと

災害等が起こらないことを心から願っていますが、もし発達障害・グレーゾーンの子どもたちと被災し避難生活を送ることになったら

「もしものとき」の困りごとを減らすために日頃からできることを、今回のおうち避難訓練から2つ見つけましたので、お伝えしますね。

①日々のコミュニケーションを整える

避難生活で非日常に陥ったとき、何より大切なのは「お母さんがどんなコミュニケーションをとるか」だと感じました。

もちろん、物資の備えなどのハード面も、大きな心の支えになります。
けれど、子どもが不安なときに一番の支えになるのは、お母さんです。

お母さんがどんな表情をしているかどんな声をかけてくれるか。それが、子どもたちにとって一番大切なことではないでしょうか。

もし、普段からイライラして叱ってばかり、子どもの感情に巻き込まれてしまう…ということが当てはまるのなら、非常事態のときだけ、優しくしよう・叱らないようにしようとするのはとても難しいことですし、

気づき②でお話しした通り、避難生活は大人もストレスが高まりますから、いつもどんなに優しい人でも普段通りでいることが難しくなるものです。

また、普段から何を言っても聞く耳を持たない…という状態になっている場合、
災害時に落ち着いて話を聞かせたり行動させたりしたい場面でも話を聞くことができず、二次的な事故を起こしてしまうことも考えられますね。

そういうことを避けていくためにも、日頃から良質なコミュニケーションを積み重ねて、

・子どもと穏やかなコミュニケーションをとれるようになっておくこと
・お母さん自身が自分の状態を把握して、上手に感情コントロールできるようになっておくこと

をオススメします。

コミュニケーションを整えておくことこそが、災害への大きな備えになるのです。

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②「非日常」を「日常」に近づけるためのおうち避難訓練

いつもと違うことが苦手な発達でこぼこの子どもたちのためにも、避難生活が「非日常」ではなく「日常」に近い状態になることが理想です。

ぜひ、定期的に避難訓練をしてみてください。

「もしも災害が起こった場合は、こんな風に対応できるから、大丈夫だよ」と伝え続けることで子どもたちは安心することができますし、

もしもの場合も「初めて」ではなく、「今までやったことあること」「食べたことのあるもの」となり、不安を軽減することにつながります。

また、子どもだけでなく大人も「もしものとき」のシミュレーションができますし、実際に災害が起こったときに本当に必要な物資を知ることもでき、

こだわりや不安の強い発達でこぼこの子ども、それぞれに合った備えをしてあげられるきっかけになりますよ。

ただし、いきなり大掛かりな訓練をすると混乱し、かえって不安を増大させることにもなりかねませんので、オススメは、スモールステップで訓練を積み重ねることです。

「お昼ごはんを、ガスや電気・水道を使わずに作ってみよう」からはじめて、慣れてきたら半日・夜・一日・暑い日・寒い日…などと、条件を少しずつ変えていけると良いと思います。

発達でこぼこの子どもたちを「もしも」から守るために、防災訓練を楽しいイベントのように行って、どんなときでも笑顔で過ごせるような備えができると良いですね。

執筆者:永崎りん

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