甘やかしすぎな親かもしれないと悩んでいるお母さん。子どもに発達のでこぼこがある場合、甘やかしすぎかどうかと悩むよりも大切な視点があります。「甘えさせ」と「甘やかし」の違いを理解し、子どもと一緒に小さな階段を登る視点を持ちましょう。 |
「甘やかし」と「甘えさせ」の違いとは
しっかり子どもは甘えさせて育てましょう。そう言われることは増えていますよね。
ですが、たっぷり甘えさせるのは大切だけれども、甘やかしになってはよくない。自分は大丈夫なのかなと心配になってしまうこともありませんか?
では甘えさせと甘やかしその違いはなんでしょう。
夕方の食事の準備のときにかぎって、「お母さん抱っこして」とまとわりついてくる。
そこで「いいよ」といって抱っこしてあげる。これは甘えさせとわかりますよね。
子どもの心の要求を無条件に受け入れてあげる。それが、上手な甘えさせですね。
ちょっと今無理だから、テレビ見ててとか、お菓子食べていいから待っててなど、他のもので機嫌をとろうとするのが甘やかし。
他には、時間がないからとか失敗されたら困るからという理由で子どもができることも親が先回りしてやってしまう。
あれがしたい、これを買ってなどの要求に、仕方ないなあとすべて応えてあげてしまう。
このような対応は甘やかしとなると言われています。
では、甘やかしといわれる対応をすることの何がいけないのでしょうか?
甘えたいという気持ちに対して他のもので代用される。そうなると子どもはもちろん満足できませんよね。
そうなるともっともっとと要求がエスカレートしてしまう。
本当はただ甘えたい気持ちだったのに、いつまでも満たされない気持ちになりわがままがどんどん膨れ上がってしまう。
もしくは自分で決めたり、自分で行動をしていないので、自分でできたという体験が極端に少なくなってしまい自分に自信がもてなくなってしまう。
そういうことが問題になってしまうのかなと思います。
甘やかしすぎていると感じる発達でこぼこの子のママ
ただ、このように甘えさせるのはよくないとわかっていても、発達にでこぼこがある幼児の場合、なかなかそううまくは行かないことも多いのではないでしょうか。
行きしぶりがあれば、自分で用意をするどころではないし、帰りにアイスを買うから行こうなどと言ってなんとか行く気にさせようとしたり。
ちょっとしたことで癇癪を起すので、癇癪が起きないように気をつかって子どものいうことをなんでも聞いてしまったり。
そんなふうにもともとは、子どもの困りごとに対して一生懸命対応するためにやっていたことでも、だんだん、私が甘やかしたからこの子はこんな風なのかもしれないと責任を感じてしまう。
わかっていてもうまくいかない…、そして結局お母さんが一人で頑張ってしまう。
そんな風に負のループに陥ってしまいやすいのではないでしょうか。
先回りしていた私
私自身も、うまくいかない子育てに自分が甘やかしすぎているからじゃないかと悩んでいました。
我が家の兄弟は、とにかく切り替えが苦手な子どもたちでした。
特に朝は、何度声をかけても動かない、準備が進まない、ご飯もなかなか食べない。
テレビをみているからだと思いテレビを消せば、癇癪が始まり余計に何も進まなくなる。
何度言っても動かないなら、私がやるしかない…。
着替えを手伝い、テレビをみている子どもの口にご飯をいれ、持ち物も準備し、時間になったらほら行くよといって、ひっぱるように連れていく、そんな朝を過ごしていました。
そしてだんだん、その状態が子どもも私も当たり前になっていってしまいました。
保育園から帰るときもなかなか遊びがやめられない息子たち。
お母さんの一言で「はーい」と帰っていくほかの子をみて、信じられないと思ったことを覚えています。
なんでうちの子たちはこんなに言うことを聞かないんだろう。やっぱり私が甘やかしているからだ。もっと厳しくしなくては。
そう思って、次の日には厳しく自分でやりなさいと声をかけるも、今までやっていなかったのに急にできるわけもなく。
結局ギリギリまでできず、あきらめて私がやってしまう。そんなことの繰り返しでした。
先回りすることはよくない。そうわかっていてもどうしたら子どもが動いてくれるのか私はわかりませんでした。
甘やかしすぎな親かなと心配するよりも大切な視点
なにより一番よくないのは、甘やかしてはいけないとママがプレッシャーを感じてしまうことではないでしょうか。
できるようにさせようと厳しくガミガミ言うが、それでもうまくいかないことで、
ママ自身がどんどん自信を失ってしまう。
そして叱られ続けた子どもも、どうせ自分はできないと自信をなくし余計に行動ができなくなる。
そうなるとお互いに嫌な気持ちのまま、前に進むことができなくなります。
甘やかしすぎかなと心配するよりも、大切なことは子どもの小さなできたを少しずつ増やしていくことです。
子どもの発達を促すのが上手な人は、子どもがもう少しでできそうな目標を一つ一つ、小さな階段を登るように促してあげられる人だそうです。
そのためにも大事なことをお伝えしますね。
今できていることを認める
最初に大切なことは、今できることからしっかり認めて肯定してあげることです。
朝の準備ができなくても、朝起きてきたら「元気に起きてきたね!」
ご飯は自分の好きなものしか食べなくても「自分で食べたんだね」
自分でできることを、お母さんやって~と言ったら「いいよ。お願いできたね」
そうやってまずはできていることを褒めてあげると、子どもにお母さんの声が届きやすくなります。
甘やかしの例であったように「抱っこして」と言われたとき、すぐにできず「これを食べてちょっと待ってて」と言ってしまったとします。
けれどその後、手が空いたときにでも「待っていてくれてありがとう」「待っていることができたね」と声をかけてあげれば、子どもは待つことが成功体験として記憶に残り、心も満たされるのではないでしょうか。
小さな階段を上る気持ちを持ち続ける
そしてお母さんの声掛けがしっかり届く状態にしてから、少しずつ子どもの「できた!」を増やしていく。
たとえば、
買い物に行くと、すぐにお店でお菓子を買ってと言う。えーこの前買ったばかりでしょ!とお母さんが言う。ヤダ買って買ってとごねて癇癪が始まる。仕方ないから買う。
そうなると駄々をこねると買ってもらえるとなってしまいます。
外でバトルになるのはお母さんも大変なので、それなら外では「食べたいんだね」「おいしそうなの選んだね」とすんなり受け入れましょう。
その分お家で「ご飯の前はお菓子一つにしようか」と話して、約束を守れたら「守れたね!」と褒める。そうやって少しずつ約束を守る場面を作ってみてください。
もちろんすぐに守れないことのほうが多いです。けれども守れたときにしっかり反応してあげると、子どもも約束を守ると嬉しいと思うようになってきます。
これはご褒美でも言えると思います。「~できたら~あげる」というご褒美。それは甘やかしと言われることもあります。
もしご褒美をあげるときに「仕方ないなー次からもちゃんとやるのよ」とお説教も一緒にあげる。
すると、子どもは頑張ったのに文句を言われた。ご褒美がないとやるもんかとなってしまう。
けれどもそこで、「よく頑張ったね」「頑張った姿が見られてうれしかったよ」という言葉と一緒にあげると、子どもは頑張ってよかった!またがんばろうという気持ちになるのではないでしょうか。
朝の準備ができないなら、最後に靴下だけでも自分で履けるようにして「自分で履けたねー!パチパチ」としっかり認める。
そしたら次は、ズボンもはけるようにするにはどうしようかなと考える。
そういう風に少しずつ、小さな階段を上る気持ちを持ち続けることが必要だと思います。
苦手なところはしっかり手厚くサポートしてあげて、それでも少しずつ成長を後押しできていればそれでいいのです。
子どもとお母さんとが一緒に、小さな階段を一つ一つ、楽しんで登ることをぜひ意識してみてほしいなと思います。
執筆者:岡村由美
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