「ぼ、ぼ、ぼ、ぼく…」このような吃音(どもり)は良くないこと?見守ることしかできないの?そんなお悩みをもつお母さんへ。お母さんができることは、あります。克服へ向けてやるべきことはたった1つ。吃音を卒業した息子の軌跡をお伝えします。 |
子どもの吃音にお悩みではありませんか?
子どもに吃音(きつおん:言葉がどもること)が見られるようになって心配しているお母さんはいませんか?
どうして普通に話せないんだろう。
上手に喋ることができなくていじめられないかな。
自然と治ることも多いみたいだけど…。
お母さんとしてどのように対応すべきか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
「ぼ、ぼ、ぼ、ぼく…」吃音と付き合うことになった息子と私
「どもり」は良くないことだと知った過去
現在小学校2年生の息子は、乳幼児のころから言葉の発達がゆっくりでした。
彼が少しずつ言葉を習得していく中で、だんだんと気になるようになってきたのが言葉の話し始めに現れる「どもり」。
当時の育児日記を確認したところ、最初は「思いがあふれて口が追いついていないんだな」とほほえましく思っていたものです。
しかし、あまりに繰り返すことが多いことが少し気になり、ネットで調べてみることにしました。
するとそこで私が目にしたのは、「療育」「発達障害」「遺伝」などの心がざわつく言葉。そして、そこで私が初めて知ったのが「吃音」という言葉でした。
この子の、この「どもり」は「吃音」っていうの?障害なの?私がほほえましいと思っていたこの子の話し方は、なんだか良くないことなんだ…とショックを受けたことが忘れられません。
ただ見守るだけ…克服できるかどうか分からない
いろいろ調べていくと「話し方を無理に矯正するのはよくない」ということがわかりましたが、当時の私はそれ以上の有益な情報を見つけることができませんでした。
どもりを言い直させるべきではない―つまり”私はただ見守るだけで何もできない”とイコールのように感じました。
私ができることは、ただ気づかないふりをすること。そう対応したところで、大人になっても苦しむ人がいるみたい…
息子だって治るかどうかはわからないんだ。
そんな風にマイナスにとらえることしかできませんでした。
知っておきたい吃音のこと
吃音発症のきっかけは「あふれる思い」
吃音は、三語文ほどの長い文章を話せるようになるころ、「たくさん話したい」と思っている子に生じると考えられています。
心配しているお母さんもいるかもしれませんが、言葉の発達の面で劣っているために始まる、というわけではありません。
吃音は、スタート地点が遅かれ早かれ、ぐんぐんと急激に言葉が発達していることが発症のきっかけの1つになると考えられているそうです。
つまり、私がほほえましく感じていた息子の「どもり」は、ある意味ではそのままニコニコ受け止めていてよかったのかもしれません。
「思いがあふれて口が追いついていないんだな」という見立ては、あながち間違っていなかったのです。
吃音は悪?意識すると悪化するとはどういうことか
それでは、なぜ吃音が問題になるのでしょうか?
それは、本人が意識することによる症状の悪化です。
無理な吃音の矯正や、吃音によるいじめ、どもったことにより注意されたり怒られたりする。それを気にして治そうとしてさらに言葉がうまく出なくなる…という負のループが生まれてしまうのです。
将来学校へ行きたがらなくなったり、うつ症状やひきこもりなどの二次障害を起こしてしまう可能性もあるので注意が必要です。
二次障害について詳しくはこちら▼
次の章で、その後私の息子がどのような経過をたどったのかを紹介していきます。
お母さんができることは、ある!
息子が吃音を克服した理由
私の息子は、3歳ごろから吃音が目立ち始め、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、小学校へ入学するころにはほとんど分からなくなりました。
3年という時間がかかりながらも吃音を克服した理由は、息子が自分自身の話し方のクセに気づかなかったからだろうと推測しています。
私や家族はもちろん指摘することはありませんでしたし、毎日会う保育園の先生の理解もあり、お友達にからかわれることもありませんでした。
そして、息子自身に強い不注意の傾向があったことも、吃音克服という点に関しては幸いだったと思います。
たとえ運悪く「話し方のクセ」を指摘される機会があっても、華麗にスルーできる力は見事なものでした。
自分自身にどもりがあることにまったく気づかない様子で成長し、のびのびと会話をしていく中で、だんだんと気持ちに口が追いついてきたように感じます。
言葉がつまったっていいんだよ!
私の息子のように、周りからの指摘やからかいがなく、本人が吃音に気づいていない場合はあえて気づかせる必要はないと思います。
話し方には触れず、子どもとのコミュニケーションを楽しんでくださいね。
しかし、発達のスピードによっては5歳くらいで自分の話し方のクセに気づく場合が多いかもしれません。
子どもが「ボクの話し方ってなんか変かも…?」と気づいている場合は、「大丈夫!言葉がつまったっていいんだよ!」と言語化して伝えてあげてください。
周りが意識しすぎて、”あの子の吃音は触れちゃいけないもの”と腫れ物に触るような対応は望ましくありません。
なぜなら”吃音は悪いもの”というイメージが吃音を悪化させる可能性があるからです。
「悪いものだから治さなくちゃ…」という気持ちの焦りが、「また言葉がつまってしまったらどうしよう…」という不安につながってしまいます。
この流れは早いうちに断ち切りましょう。
どもったっていいんです。
大切なことは伝わること。そう、コミュニケーションですから。
やるべきことは1つ!あふれる思いをキャッチする
吃音に関して、遺伝的にとか医学的にとかいろいろな情報がありますが、とにかく大事なことは、ズバリ!お母さんが子どもの話を聞くこと。彼らのあふれる思いをしっかりキャッチすることです。
「違うでしょ」や「もう1回言ってごらん」と言った言葉の訂正や、子どもがすべて話し終わる前に「○○ってこと?」や「○○って言いたいわけ?」と先取りして話すことは控えましょう。
子どもが話しているときは聞く!に徹してください。
「たくさん遊んで楽しかったんだね」「お友達がそんなことを言っていたんだね」「うんうん。それで、どうしたの?」などと、話し方よりも話の中身をしっかり受け止めて返してあげましょう。
お母さんに伝わった!コミュニケーションって楽しい!と思わせるような会話を目指してくださいね。
たくさんの思いがあふれて仕方ない!そんな子どもたちの成長を、心から応援します。
執筆者:大塚 ひかり
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