これって強迫性障害?手洗いが激化した子どもをママの声かけで助ける方法

こんな困りごとはありませんか?「きれい好きな子どもだと思っていたけれど、最近、手洗い時間が長くなって回数も増えたみたい」…もしかしたらそれは、不安な気持ちが行動に表れた“強迫性障害”かもしれません。けれど大丈夫!ママの声かけで改善できますよ!

きれい好きな息子の手洗い回数が急激に増えた

わが家の息子は小学3年生。
とても優しく妹思いの元気いっぱいな男の子です。

きれい好きで、外出から帰宅したときなど、手を洗う必要のあるときに、しっかり手順に沿って手洗いをする子でした。

あるときから、数分おきに洗面台に走って、繰り返し手を洗う行動がみられるようになりました。

洗面台で手を洗う。
すぐに、遊び部屋に戻って、ブロック遊びを再開したと思ったら、また、洗面台に走って行き、激しく手を洗う。
その行動を延々と繰り返す…

何が起こったのか?
本人の望むまま、手洗いを続ければ、落ち着く様子だったので、母である私の心は動揺していましたが、表情やしぐさに表さないように努めました。

たまたま、小児科受診の機会があり、医師に様子を話したところ、「あぁ、強迫性障害ね」と言われてしまいました。

強迫性障害とは

強迫性障害とは、本人も必要ではないと分かっているのに、不安を振り払うために何度も同じ行動を繰り返し、日常生活に支障が出てしまう状態のことをいいます。

手洗いが“強迫性障害”に激化した理由

なぜ、“手洗い”が“強迫性障害”に激化したのでしょうか?
少し違った角度から検証してみましょう。

こんなふうに考えたこと、ありませんか?

『なんでクヨクヨ悩んじゃうんだろう。考えてもどうにもならないのに…』

それは、人類が生き残るため、太古の昔から脳に組み込まれた本能なのです。

動物の脳は、生きるために、危険な行動や間違った行動を繰り返さないよう、ネガティブ感情が残りやすい性質を持っています。

あなたやあなたの子どもだけではなく、人ならば誰もが持っている脳の性質です。

ですから、あらゆる場所で繰り返し手洗いの重要性を叩き込まれすぎて過剰反応してしまったり、
「今日のコロナ感染者は〇人です。重症者は…死亡者は…」とテレビのニュースなどから、何度も繰り返し見聞きするだけでも、

漠然と不安な気持ちが高まっているのです。

繊細で不安が強い子どもならば、なおのこと、ネガティブ感情が高まりやすいのです。

強迫性障害を解決するために必要な“ワクワク”

本能…これに抗うためには、意図的に気分転換をして、ポジティブ思考へ導かなければなりません。

・コロナなどの暗いニュースばかり流れるテレビは見ない
・瞑想して、クヨクヨした思いを吹き飛ばす

これらも十分、有効なのですが、もっと楽しくワクワクして自らやりたくなる手段はないでしょうか?

例えば…オリンピック選手はなぜ、大けがをしてもスポーツを続けるのでしょう?

それは、そのスポーツが大好きだから。
ワクワクする気持ちネガティブ思考打ち勝つからではないでしょうか。

そう。ポジティブ思考を繰り返し、雪だるま式に大きくしてネガティブ思考にぶつけるとポジティブに上書きできるのです。

それは、オリンピック選手が証明していますよね。

脳の可能性は無限大!!

現状を変えるため、考え方を変えてみましょう。

キーポイントは“ワクワク!” “楽しい

どうすれば、楽しくできるかな?ワクワクするかな?と想像しながら、具体的な声かけ方法を実践してみましょう。

コロナ禍で外出が減り、在宅時間が増えた今がチャンス!

実践の前に、なぜ今、ママの声かけを変える必要があるのか、考えてみましょう。

現在、コロナ第6波が席巻中です。

学級閉鎖が乱発し、下校時刻が早まったりして、在宅時間が長くなり、親子がともに過ごす時間も長くなっています。

そういった想定外の予定変更からくる不安や、ママへの甘えも激化につながっていませんか?

年度末で、進級前の不安も重なっているかもしれません。

おうち時間が増えているからこそ、親子の時間が濃密になっている“今”を利用しちゃいましょう。

ママの言葉をダイレクトに子どもに伝えるチャンスです。

ママの声かけを変えて、一刻も早く、子どものメンタルをサポートし、整えてあげましょう。

実践した声かけ方法は、コレ

徹底して話を聞く

息子は、もともと不安が強く、こわがりなところがあります。
“丁寧な手洗い”が“強迫性障害”へ激化している強い不安とは何か?

子どもの言動から、原因を考えてみましたが、決定打が思い浮かばない…
もしかして、私が気づいていない“息子が不安になる決定的な原因”があるのかな?

腰を据えて、息子と向き合い、見えていない原因を探ってみることにしました。

息子は、自分の気持ちを言葉にして話すことがとても苦手ですが、なんでもない話や作り話を話しだすと止まらなくなります。

今まで「また始まった」と半分聞き流し、いい加減に聞いていましたが、息子が話を始めたら、しっかり子どもの方に体を向け『聞いてるよ』の姿勢を示し、目を合わせて穏やかに「へぇ~、そうなんだ」と相づちを打つように対応を変えました。

朝の登校前に、マシンガントークが始まっても、『今は“遅刻”よりも“子どもの話を聞く”ことを優先する』と腹を決め、息子の話をさえぎらず、話を聞くことを徹底しました。

あるときから、なんでもない話を話し終えたあと、続けて「実は、こんなことがあったんだ…」と学校での出来事や、そのときの気持ちをポツリポツリと話し始めたのです。

そして、ついに、「一年前、無理してた…」と胸の奥底に秘めていた本音を語り始めました。

このとき、ようやく、息子の本心に触れることができ、子どもの不安の原因にたどり着くことができたのです。

本人に承諾をもらって、担任の先生とも情報を共有し、家庭と学校での子どもへの対応を同じにするよう努めたところ、少しずつ、息子の様子が柔らかく変化していきました。

2ルールで、手洗いを見える化

同時進行で、手洗い時間の短縮と、手洗い回数を減らすルールを決めました。

“手を洗うこと”自体は否定せずに肯定し、息子に「1回の手洗い時間と、1日の手洗い回数を決めよう!」と提案しました。

ルール1.「1回の手洗い時間を決める」

1回の手洗い時間は“3分”に決定。
家にあった“砂時計”を利用することにしました。

息子が大好きなハムスターのイラストを砂時計に貼り付け、
「手洗いするときに、砂時計をひっくり返すね!ハムちゃんが手洗い時間を教えてくれるよ!」…(わくわくポイント①)

“砂時計の砂が落ちるまでに、手洗いを終わらせる”と約束しました。

ルール2.「1日の手洗い回数を決める」

1日の手洗い回数は“10回まで”に決定。

ホワイトボードに10個の枠を書き、手洗いを1回終えるごとに1個、マグネットを貼っていきました。
マグネットにも、息子が好きなキャラクターを貼りました。(わくわくポイント②)

洗面台の横に、ホワイトボードを置き、いつでも息子がチェックできるようにしました。

子どもが頻繁に手洗いを始めたら、ママが穏やかに「お、今日はもう、5回も手洗いしたんだね。きれいになったね」と笑顔で声かけし、ボードを見るように促しました。

そして、この取り組みも担任の先生に話し、学校でもホワイトボードや砂時計を同じように使っていただきました

先生への説明は、支援相談員さんからも、学校へ電話していただき、援護射撃してもらいました。

2つのルールに真剣に取り組んだら、即、効果が表れ、なんと、その日から手洗いの激化が沈静化し始めました。

2週間が過ぎるころには、もとの“丁寧な手洗い”へ状態が戻りました。

強迫性障害や手洗いを恐れるな!子どもの立ち直る力を信じ、ママが、どーんと構えろ!!

振り返り

・『おかしい』と感じてすぐ、支援相談員さんへ状況を話し、小児科の医師へ相談してみようとアドバイスを受けた

・小児科受診時、支援相談員さんにも同席してもらい、医師から具体的な対策を助言してもらえた(手洗いを否定しない、2ルール)

・何より、ママの私が、子どもと真剣に向き合った

今でも、息子はイライラすると洗面台に走って行き、手を洗います。
しかし、強迫的ではなく、短時間、1回で終了します。

息子は“イライラしたら手洗いで気持ちを切り替える”という武器を自ら手に入れたのです!

まとめ

・不安を一人で抱え込まないで!早めに周りへ相談しよう

・学校や支援者(支援相談員やスクールカウンセラーなど)と情報を共有し、同じ取組みを実践しよう

・担任の先生へ対応策を説明するときは、保健の先生に同席してもらったり、支援者に援護射撃してもらおう

・オロオロしなくっても大丈夫!ママが、どーんと構えよう

子どもは今、生きる手段を手に入れようとしているかもしれません。

子どもの“立ち直る力”を信じママの穏やかな声かけと正しい対応で子どもをサポートしましょう。

執筆者:松木なおこ

▼正しい親子のコミュニケーションを知って、もっと自分も子どもも好きになる!無料メール講座のご登録はこちらから

タイトルとURLをコピーしました