運動会を苦手と感じやすい、自閉症スペクトラム傾向の子ども。我が子が「みんなと同じようにできない」と、お母さんもつらくなりますよね。しかしそれは、大人が作った常識に縛られているからかもしれません。発達障害の子どもの自信を奪わないために我が子に合った対応ができるママになりませんか。 |
発達障害・自閉症スペクトラム(ASD)タイプの子どもは、運動会が苦手になりやすい
運動会練習が始まると、気が気ではないママもいらっしゃるかもしれません。
なぜなら、発達障害・自閉症スペクトラム(ASD)タイプの子どもにとって、運動会はとてもハードルの高い行事だから。
ASDの特性として、体の不器用さがありますので、先生の動きを真似て体を動かすことが苦手です。遊戯ではワンテンポ遅れたり、1人だけ動作が反対になってしまうこともあります。
また不安が強く環境の変化にも弱いので、いくら練習をしていても、運動会本番はいつもと違う雰囲気に、パニックになってしまう子もいると思います。
みんなと同じようにできない我が子をみて、お母さんもつらい思いをすることが多いのではないでしょうか。
ですが、「今、みんなと同じようにできること」は、その子の将来に本当に必要なことでしょうか?
この記事では、運動会の「常識」について考えながら、発達障害の子どもの自信を奪わないママの関わり方について考えてみます。
運動会の「常識」必要ですか?
「集団行動の素晴らしさ」は大人が勝手に作った常識
私は、スクールカウンセラーや巡回相談員として学校で長く働いてきましたが、数年前に初めて保護者として小学校の運動会に参加したとき、違和感をもった場面がありました。
小学校の運動会は、競技だけではなく、各学年の「表現」演技がありますよね。幼稚園や保育園でも、あるところが多いと思います。
ここで私がものすごく違和感をもったのは、
学年によって、全員がとても楽しそうに自分ごととして参加している「表現」と、
半分以上が「暑い〜」「だるい〜」「早く終われ〜」と顔に書いてあるような、やらされ感満載の「表現」が存在したこと。
学年によって、全員がとても楽しそうに自分ごととして参加している「表現」と、
半分以上が「暑い〜」「だるい〜」「早く終われ〜」と顔に書いてあるような、やらされ感満載の「表現」が存在したこと。
単純に、これ、なんのためにやっているんだろう?とものすごく疑問に感じました。
また、学校で働いているときには、この「表現」をうまく行かせるために、発達にでこぼこのある子どもたちをいかに集団に馴染ませるか?という作戦が飛び交う様子を見てきました。
ここにも強い違和感を感じていた私。
運動会に向けて、一糸乱れぬ演技を子どもたちに叩き込むことで先生たちは一体何を学ばせようとしているのだろう?
発達障害・グレーゾーンの子どもたちのみんなと一緒にできないということが、まるで悪いことかのように扱われる。
そして、本番でも、目立ちますから「あちゃー」という雰囲気になってしまう。
そして、本番でも、目立ちますから「あちゃー」という雰囲気になってしまう。
けれどもこれって、大人が勝手に作った「集団活動の素晴らしさ」に子どもを当てはめているだけなんじゃないでしょうか?
だるそうに踊る子どもたちをみて、
この子たちは今この瞬間、何を得ているんだろうな?
この演技をするために費やしてきた授業の時間はこの子たちにとってどんな意味があったんだろうな?
この子たちは今この瞬間、何を得ているんだろうな?
この演技をするために費やしてきた授業の時間はこの子たちにとってどんな意味があったんだろうな?
そんな疑問を持ってしまいました。
大人の「常識」より大切な、子どもにとって必要な力を身につけさせること
私たちは、自分たちが育ってきた「常識」に当てはめてしか子どもを見られないのかもしれません。
これって本当に大事なこと? この子の将来にどんな影響があるの?
子どもの未来を本気で考えるなら、私たち大人の常識をまずは疑うところからスタートして、もっと一つ一つのことに「なぜ、コレをやるのか?」という目的意識を持って、大人が子どもに接していくことが大切だと私は思います。
各学年で「表現」があるのが「常識」だから、やらなくちゃいけないから、先生たちも「仕方なく」教えているところがあるんじゃないかな?
大人が作った「常識」にうまくはまれない発達障害・グレーゾーンの子どもたちが叱咤激励され、叱られ…
うまくできない場合は、その場から少し離され…、
お母さんが必死に集団に戻そうと声をかけて…、
うまくできない場合は、その場から少し離され…、
お母さんが必死に集団に戻そうと声をかけて…、
こんな姿を目の当たりにして、子どもが可哀想!と思ってしまいました。
発達にでこぼこのある子を、無理矢理みんなと同じようにさせようとしても、ただネガティブな記憶が残るだけです。
それなら、どうしたらいいかわからなくなったときに先生にヘルプをだす方法を教えてあげたり、
「ここはとっても頑張れたね」と褒めて、小さな成功体験を作ってあげたりすることのほうが、
よっぽど大事なんじゃないでしょうか。
「ここはとっても頑張れたね」と褒めて、小さな成功体験を作ってあげたりすることのほうが、
よっぽど大事なんじゃないでしょうか。
現場の本音。先生も悩んでいるのです
運動会での「表現」演技に対する私の疑問をメルマガで発信した際、元中学校の先生から、こんな感想を頂戴しました。
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私も教員時代、体育館にキチンと整列させて、気をつけ礼の練習をしたり、全員がどこかの応援団に所属し、歌やダンスを踊ったり。
そしてそこに馴染めない子は、暑い中隅っこでその様子を見学するという光景の、全てに違和感でした。
誰にも言えなかったし、うまく言語化できませんでしたが「大人の目的意識のなさ」と「その被害者が子ども」であることに怒りを感じていたのだと思います。
石澤さんの言葉を借りて、自分の感情の理解が少し深まりました。
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現場を知っている先生からのご感想にとても嬉しくなりました。 日本の教育も捨てたもんじゃないな、と。
もしかすると、現場で働く先生たちの中にも、感想をお聞かせくださったこの先生のように、「これって本当に子どものためになっているのかな?」と疑問を感じながらも、慣例に従うしかなく指導している方や、
疑問を検証したり、新しいやり方を提案する時間的な余裕もなく、日々の業務に追われている方も、多いのかもしれません。
学校の先生の仕事って本当に大変です。朝早くから学校に来て、その日の準備をし、夜暗くなってからも職員室には煌々と明かりがついています。
そもそも、先生たちの働き方自体を変えていかないと、教育の本質を考えることができないのではないかとやるせない思いになることも多いです。
だけど!そんな大人の事情を子どもに押し付けては絶対にいけないんです。
運動会のトラウマを乗り越えたお母さんの話
講座の生徒さんで、4歳の男の子のお母さんのMさんが、お子さんの運動会のあと、お話くださったことが印象に残っているので、ご紹介します。
Mさんのお子さんは一見普通の男の子ですが、実は、ASDの診断があり、困ったときに自分からヘルプを出すことが苦手な男の子です。
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我が家は今日、運動会でした。今日は、私も運動会の常識について考えてみました。
息子は4歳年中です。自閉症スペクトラムと診断されています。
今年は、全ての種目に出ることができ、動き、おそらく何も知らない人が見れば、発達にでこぼこがあるとはわからないと思います。
今年は、全ての種目に出ることができ、動き、おそらく何も知らない人が見れば、発達にでこぼこがあるとはわからないと思います。
しかし、去年は違いました。開会式から閉会式まで、ずっと抱っこで何一つ種目には参加できませんでした。
今の私なら「出たくないならここに居ていいよ。」と言えると思うんです。長い目で見れば、幼稚園の運動会に参加しなくてもどうってことない。
けれど、去年は、皆ができることができない息子が悲しくて、抱っこしながら人目を憚らず泣いていました。
まさに、集団活動の素晴らしさにとらわれ、それができない息子は恥ずかしい。情けない。
私の勝手な思いで、嫌がる息子をなんとか集団に戻そうとしていました。私自身が常識でガチガチになっていました。
私の勝手な思いで、嫌がる息子をなんとか集団に戻そうとしていました。私自身が常識でガチガチになっていました。
今年は、参加できてもできなくてもどちらでも良い。という思いで会場に向かいました。
いずれにしても、どんな気持ちがこみ上げてくるんだろう。自分でもわかりませんでした。
いずれにしても、どんな気持ちがこみ上げてくるんだろう。自分でもわかりませんでした。
結果、やはり参加できると嬉しいんです。
そしてそれは、息子の姿次第ということもわかりました。
そしてそれは、息子の姿次第ということもわかりました。
嫌々やってるのではなく、時折ワンテンポ遅れながらも楽しそうにやっている。
人に言われて、〇〇すべき思考で動いているのではなく、自分がやりたいからやっているという思いが伝わってきました。
人に言われて、〇〇すべき思考で動いているのではなく、自分がやりたいからやっているという思いが伝わってきました。
私の実感としては、大人の常識、固定観念に子どもを当てはめようとしても、お互い辛くなるだけで得るものはなく…。
楽しさを感じられるから、学びがあるから、子どもは動けるんだと思います。大人でも同じでしょうか。
トラウマだった運動会から考えることがいろいろありました。
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▼まだまだあります!運動会に関する親子の変化成長ストーリーはこちら
「常識」に縛られず、我が子に必要な対応ができるママになりませんか
Mさんは、お子さんのためにできることはなんでもしたい!と学んでくださった、とても素敵なお母さんです。
お母さんの考えや対応が変わり、お子さんもしっかり発達が進んだことで、1年でこんなに変化が起こせるなんて、本当にすごいことですよね。
講座では、一番に、子どもの出来ていることに注目をします。
出来ていること、好ましい行動に注目し、一つひとつ肯定することで子どもたちは自信をもって行動できるようになります。
出来ていること、好ましい行動に注目し、一つひとつ肯定することで子どもたちは自信をもって行動できるようになります。
そして何より、お母さん自身も、自分の声掛けで子どもの変化を実感することができるので、子育てに自信がつき、トラウマだった運動会から今の息子さんに本当に必要な対応に気が付いたんだと思います。
運動会の「みんなで同じことをしなければならない」という常識を脱ぎ捨てて、「出たくないならここに居ていいよ。」とお子さんに言えるなんて、なかなかできることではありませんよね。
発達を上手にうながせる人は、目標設定が上手な人です。子どもがあともう少しで手が届くような目標を設定し、一つひとつクリアしていく。
そしてその成功体験の積み重ねが、将来子どもが羽ばたく力になります。
そしてその成功体験の積み重ねが、将来子どもが羽ばたく力になります。
あなたは、お子さんに運動会を通して何を学んで欲しいですか?
そして、そのために、どんな関わり方をしていけば良いと思いますか?
そして、そのために、どんな関わり方をしていけば良いと思いますか?
世の中の「常識」ではなく、目の前のお子さんをしっかり見て対応できるお母さんが増えていくことを願っています。
▼運動会が終わったあとにママがやって欲しいことはただ一つ!こちらの記事を参考にしてください^^
執筆者:石澤かずこ
(お母さんの小学校★ななほし代表)
(お母さんの小学校★ななほし代表)
▼子どもの未来につながるお母さんの対応についてはこちら!毎日情報を配信中です。