アスペルガー傾向の夫の自分が思い通りにならない怒りや暴言に振り回され、妻はストレスが多く辛い日々ですよね…。けれど実は、夫自身も辛いストレスを抱えているかも…と考えたことはありますか?この後編では妻も夫も楽になっていける暴言への対処法をお伝えします。 |
暴言を吐く夫、実はストレスフルの状況で頑張っていた!
<前編>では、夫が暴言を吐く原因にアスペルガーの特性が関わっているケースがあること、そして妻自身のために「夫を理解する視点」で発達障害の特性について学んでみてほしいことをお伝えしました。
▼▼<前編>はこちらから▼▼
<後編>では、より具体的な暴言の原因と対処法について触れていきたいと思います。
色々と考えられる暴言の原因の1つに、実は「アスペルガータイプの夫自身がストレスを抱えているかもしれない」ということがあります。
アスペルガー症候群の特性として、
・相手の気持ちを読み取る、暗黙の了解が苦手
・急な予定変更、見通しの立たないことが苦手
・臨機応変な対応が苦手
・複数のことを同時に進めるのが苦手
・感覚の過敏さ
などがありますね。
子育ての一場面、アスペルガーの夫はこんな事がストレス
これらの特性を、子育ての場面で必要なこととして当てはめてみると、
「子どもがぐずっているのはこんな理由かな」と相手の気持ちを読み取る
「子どもの調子がイマイチだから外出予定を変えよう」と予定変更をする
「家事をしながら子どもの相手もして…」と複数のことを同時に進める
「自分は真っ暗で寝たいけど子どもが怖がるから小さい電気をつけて寝る」と感覚の過敏さを我慢する…など、
子育てをしているママとしては、子どもとの日常で慣れっこのことも、パパ、とくにアスペルガータイプの夫にとっては、
“子どもはどうしていつまでたっても泣き止まないんだ…”
“ぐずって子どもの支度が進まない、いったい何時に出かけられるんだ…”
“手伝えって言われても、俺は今やってることで手一杯…”
けれども、子どものことは可愛く大切に思っているから、夫は本人なりに、家族へ合わせようと努力している。
あなたの夫は普段、「俺はちゃんとやっている」「俺は我慢してるんだ」と、よく言っていませんか?
ひそかに我慢している夫、だけど妻から責められて暴言に…
さらにアスペルガーの中には、
相手の気持ちを読もうとし過ぎてしまうタイプや、
子育てとは、父親とは、こうあるべきという枠に囚われている人もいて、
自分自身で様々なストレスを増やしてしまっている場合もあります。
それに加えて、夫から気持ちを理解されない…という不満を抱えている妻から、「どうして解ってくれないの?」「協力してくれないの?」と責められることも積み重なる…。
アスペルガータイプの夫としては、今までの自分のペースで良かった暮らしと違う、ストレスが多い子ども中心の生活環境の中で、自分としてはとても頑張っているし、我慢もしているし、協力しているつもりなのに。
…そう、お分かりですよね。夫自身もいっぱいいっぱい…ストレスフルの状態になっていたのです。
そこに自分の特性からくる強いこだわりが思い通りにならない、それが怒りに重なって、暴言として出てしまっていたのですね。
暴言は気持ちをうまく伝えられない夫なりの自己表現
私は夫とのコミュニケーションに違和感を持ちつつも、「夫がアスペルガー傾向かもしれない…」というところにまだ行き着いていないとき、
「私は大変な子育てで手一杯。それなのに夫はどうしてこんなに自分中心の言動ばかりなの…!?」という不満を、夫に毎日のようにぶつけてしまっていました。
夫は気持ちを汲んでくれない反面、もとは、私のイライラを責めない穏やかな夫でした。
それがいつからか夫も怒りっぽくなってしまい、自分の思い通りにならないことがあると、私に暴言を吐くようになってしまっていたのです。
私ばかりがストレスで悩まされていると思っていたけど…
私はこんなに頑張っているのに、夫にどんなに訴えてもちっとも協力的にならない。それどころか、どうして私が夫から責められなきゃいけないの…!?
いつもそんな想いで生活をしていました。顔を合わせればお互いを罵り合う…そんな時期もありました。
そんな私が子どもの発達障害について学んでいく中で、もしかして夫の困りごとは「アスペルガー傾向が関係しているかも…」と行き着いてから、私の気持ちが大きく変化していったのです。
今までの理解しがたい夫の言動の理由。
そして夫自身も実は、たくさん我慢してきたであろうこと。
そんな夫に対して、私が夫を責め、追い詰めていたこと。
夫の言動や暴言で「私ばかり悩まされている」と思っていたのに、私の言動が夫のストレスになり、暴言のきっかけになっていたかもしれなかったなんて。
…そのことに気づいたとき、夫に申し訳ない気持ちで、涙が出ました。
なかなか普通の会話の中では、自分の気持ちをうまく言葉に表して言うことが苦手なアスペルガータイプの夫。
本人は、妻をわざと傷つけようと言っている訳でなく、“俺はこんなに不快で大変な思いをしているんだ!お前にはこの気持ちわからないだろうけど!”という、自分の気持ちを溜めて溜めて…表す方法が暴言となってしまっていたのですね。
アスペルガー夫の辛い暴言をかわす2ステップ対処法
このように夫のことが理解できてくると、暴言を吐く夫を責める気持ちより、妻が夫へ少し歩み寄り「言葉の裏側にある夫の気持ち」を汲んでみようと思えてきませんか…?
私も辛い。夫も辛い。子どもだってもっと辛い。
家族みんなで穏やかになりたい…と願うあなたは、こんな対処法を試してみてください。
<対処法1>夫の暴言に感情的に反応しないで、黙って待つ
夫が発したひどい暴言だけを聞くと、「そんな言い方はないでしょう!?」と反論したくなりますよね。
ですが妻は、とにかく夫が言いたいだけ言い終わるのを待ちましょう。
怒って興奮しているときは、脳の感情を司る部分の働きが暴走している状態なので、何か話しかけても伝わらないからです。
グサッと来るようなひどいことを黙って聞いているのも精神的には辛いですが、こう考えるとどうでしょうか。
夫は「思いつく限りのひどい言葉」をとにかく並べているだけ。子どもがぐずっているときの「ママのバカー!もうママなんてだいだいだいっキライ!もう一緒に寝てあげないよ!」という感じと同じ…。
…反論しても、どうしようもないな、と思えてきませんか?
ポイントは、黙っていても気持ちはあなたに向けていますよ、ということを視覚的に伝えることです。移動せずにその場にいましょう。
妻が気にしていないフリ…は「聞いてないのか!?」という更なる怒りを沸かせてしまうためNGです。
<対処法2>気になっていることがどうなるのか、見通しを立ててあげる
アスペルガータイプは、先の見通しが立たないことに不安を感じます。だから、夫が言いたいだけ言い終わったなと思ったら、問題となっている物事にだけ答えましょう。
例えば、「夫がやって欲しかったことを、妻が(夫の思い通りに)やっていなかった」ことへ怒りを表しているとしたら、「〇〇は明日やっておくよ」
もしできないことなら「すぐはできないけど、明日調べておくね」「〇〇までなら私ができるけど、△△はパパがやれる?」
など、「夫が気になっていることがどうなるのか」を伝えましょう。
アスペルガータイプはネガティブな出来事の記憶が残りやすいので、夫は今の問題と関係ないことも出してネチネチと言いがちです。けれど、妻が答えるのは今のことだけをシンプルに伝えましょう。
前編・後編を通して、対処法の一番のポイントは、妻が夫の言動に「感情的に巻き込まれない」ことです。
妻がアスペルガー傾向の夫のことを「理解して、責めない」対応法を続けると、少しずつ少しずつ、暴言が落ち着いてきます。
現在の我が家は、たまに夫が暴言を吐くことがあっても、妻の私も「ん~、〇〇ってことだよね~」とサラリと対応できるようになってきました。
このように「暴言の原因となる特性を知る」「暴言をうまくかわす対処法」ができてきたら、次は、アスペルガー傾向の夫と夫婦円満を目指す会話のコツを<続編>にてお伝えしています!
☆☆☆読者ママからの感想☆☆☆
【今の辛い状況を変えていけるかもと思いました】
暴言を浴びせられてツライ、一方で暴言を吐いてしまう側の状況はどうなの?と深堀りしていくと、もしかすると相手も困っているのかもしれない。少しの手助けをしてあげるだけで、今の辛い状況は変えていけるかも…と続編記事を読んで思いました!
(年長男の子のママ)
【大人も困りごとの根っこは同じとわかりました】
子育てがドン底だった頃、子ども以上に夫との関わりにストレスを感じてイライラすることも多かったです。実は、子どもも大人も困りごとの根っこは同じだったとわかりました。
(3人兄弟のママ)
▼発達障害・アスペルガー傾向がある夫の暴言に振り回されない対処ができる妻になりたい!夫婦の困りごとを解決して穏やかな家庭をつくるヒントがいっぱい!