幼児が片付けられない原因は「脳」!子どもの発達と特性理解がイライラ解決への一歩!

「片付けなさい」と言ってもなかなか片付けられない我が子…。幼児だから?それともADHD・発達障害かも?と原因が気になっているママ、実は片付けには脳の発達が大きく関係しています。早めの対応が必要なケースが解るチェックリスト付きで解説します。

幼児が片付けられない原因は、脳の「ワーキングメモリ」にあった!

まずは、なぜ幼児は一人で片付けられないのか?という問いに対して、脳の発達という切り口で解説していきたいと思います。
 あなたのお子さんは、
・ 片付けしようね〜
・ご飯だよ〜
・そろそろテレビおしまいね〜
・お風呂に入ろうね〜
などと声をかけてから、どのくらいで「はーい」と返事をしますか?
そもそも返事すら返ってこない…ということ、よくありませんか?
小さなお子さん、特に就園・就学前の幼児は、言葉だけの声掛けで反応が返ってくること自体が少ないのではないでしょうか?
さらに、お絵かきをしていたり、ブロックに夢中になっていたり、テレビを観ていたりしたらほぼ100%、返事すら返ってこない…ということが日常の中で起こっているのではないでしょうか?
「脳の発達」を知らずに子育てをしていると、子どものこのような様子にいちいちイライラしてしまうことになるのです。

指示通り動くには様々な「力」が必要

お母さんが「~しなさい」と声掛けして子どもが指示通りに動くには、実はいくつかの「力」が必要。大人は普通にできることでも、幼児にはスムーズにいくのが難しいこともあります
例えば、
・お母さんの声掛けに自分の気持ち(注意)を向ける力
・今やるべきことの優先順位を頭の中で組み立てる力
・いくつか言われたことをちゃんと頭の中に覚えておく近田
順序立てて実行する力(ワーキングメモリ)
 幼児の場合は、発達障害の特性があろうがなかろうが、このワーキングメモリがまだまだ発達途上です。
・いくつか言えば、一つしか覚えていない(一つ覚えていればいい方)
・いつもやっていることなのに油断すると順番がわからなくなる
そんなことが起このは、お子さんの中でまだまだこのワーキングメモリの力が育ってきていないからなのです。

片付けるには「ワーキングメモリ」をフル稼働

「片付け」という行為は、まさにこのワーキングメモリをフル稼働しなくてはいけない行為です。
・そろそろご飯の時間だな、と見通しをもつ
・ご飯の時間までに片付けをしないといけないなと思い出す
・リビングを見渡して、自分が片付けるのはコレとコレとコレだな、と気づく
 ・どうやって片付けを進めるか計画を立てる
 ・順番や片付けるべきものをちゃんと覚えておいて一つずつ片付けの行動を起こす
・一つ終わったら、「次はコレだな」と覚えておいて、行動を移していく…
このように片付けって、実は結構、脳みそを使わないとできない行為なのです。
もしかすると、この記事を読んで「あれ?私ももしかして?」と思っているママもおられるかもしれませんね。このワーキングメモリをフル稼働しなくてはいけない行為は、大人だって結構大変な作業なのです。
それをまだまだこれから脳が発達する幼い子が自分でスイスイできちゃったら、それはそれでちょっと怖いですね(笑)
できないのが当然、と思ってあげてもいい分野です。

脳科学

「幼児だからまだ片付けられない」で済ませていい?うちの子をチェック!

ただし、「幼児だから」で済ませてはいけないほど、もともとの発達の特性としてワーキングメモリが弱いお子さんが稀にいます。
次のチェックに2つ以上当てはまった場合は、その子のワーキングメモリの発達の状態に合わせた丁寧な声かけの工夫や収納の工夫が必要です。
 ☑落ち着きがなく、長い間じっとしていられない
 ☑すぐに気が散りやすかったり、直接話しかけられた時に聞いていないときがよくある
 ☑よく考えずに行動したり、話したりする
 ☑思い通りに行かないと、ひどく怒ったり泣いたり、人に手を出すなどの行動が目立つ
特に、最後の質問を含む2問以上に当てはまったお子さんは早めに対応してあげることが必要です。
なぜなら、不注意・気の散りやすさ・上手に集中することの苦手さといった、元々の特性を叱りすぎ、あるいは特性によって失敗させすぎて、攻撃性が高まっている可能性が高いからです。
もともと穏やかだったのに、最近、癇癪を起こすようになった、というお子さんはなおさら早めに対応が必要です。

実験!我が子の脳の処理スピードがわかる!

もし、先ほどのチェックリストにはそんなに当てはまらないのだけど、
・子どもの特性の難しさは感じている。
・かつ、毎日片付けられない子どもとバトルになってしまう!
と言う方は、ぜひ以下の実験をしてみてください。
なんでもない時に、「〇〇く〜ん」とお子さんの名前を呼んでみて、「はーい」と反応が返ってくるまでにどのくらいの秒数が必要か?測ってみてください。
呼びかけてから反応が返ってくるまでの時間が、その子が言葉の情報(聴覚情報)を脳の中で処理するのに必要な時間です。
もしごきょうだいがおられる方は、きょうだいで比較してみると面白いですよ! あるいは、パパやおじいちゃんおばあちゃんなどと反応速度の違いを比較してみてください。
幼児の場合、「時差!?」と思うほどゆっくり反応が返ってくることがほとんどです。
単純な「お名前に返事をする」と言う処理にさえ、これだけの時間がかかるなら、片付けの行動を引き出すための声かけは、どのくらい処理の時間を与えてあげることが必要か…。
そう考えると、少しお子さんに優しくなれそうですね!

片付けられない問題には「テクニック」の前に「戦略」が解決への近道!

「一番長く接する人=お母さん」がどんなコミュニケーションをするか?が、子どもに最も大切な「環境」です。
しかし、 幼児期の場合は、コミュニケーションだけを整えようとしてもうまくいかないことが多い
その例で、幼児が片付けられない原因の1つとして、脳のワーキングメモリとの関係の理解も大切であるというお話しをしました。
それに加えて片付けられない原因として、家の中の環境自体が整っていないことが、コミュニケーションを妨げる「壁」になっているケースがとても多いのです!

お母さん、こんな家の環境になっていませんか…?

・家の中がものでごった返していて、何をどう片付けたらいいかわからない
子どもの手の届かないところに収納場所がある
・子どもにとって知らず知らずに、とても片付けづらい収納になっている 
このような家の環境になったままでは、
生活習慣を整えようとしても、
いくら上手にお母さんが声をかけて誘えるスキルを持っていたとしても、
うまくいかないことがあります。
そしてその環境を整えるために、まずやるべきことが
「その子の特性をしっかりと知った上で作戦を立てる」
ということです。

「作戦」を立てて親子バトルのないおうち時間を!

冬休みなどの長期休みは、子どもたちの生活の大半の時間を「家」で過ごします。そして、「お母さん」とコミュニケーションをしますね。
今すでに毎日のように「片付けなさい〜!」片付けられないことが原因で親子のバトルが起こっているお母さん。

我が子の脳が処理できる速さを知ったり、子どもの特性に合った家の収納を考えるなど、穏やかな日々のために今日から行動できることはたくさんあります。

まずは我が子の「片付けられない原因」からチェックして、作戦を立ててみてくださいね!おうち時間が増えるこの時期、お母さんとお子さんが笑顔で過ごせますように!

執筆者:石澤かずこ
(お母さんの小学校★ななほし代表)

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