発達でこぼこの子どもたちにとって行事続きになると、しんどくなりますよね。子どもが保育園の行事の練習をしんどそうにしていたり、参加を嫌がっていることもあると思います。そういう子であっても親子で行事を幸せ時間にかえることができました。その方法を紹介します。 |
運動会やだ!学習発表会やだ!というお子さんのことで困っていませんか?
運動会、学習発表会など行事が目白押しのシーズン。多くのお母さん、お子さんたちは、ワクワクドキドキ、かもしれません。
そんな中で、練習が始まりだしてから機嫌が悪くなってきているお子さん、夕食食べながら寝てしまうほど疲労をためているお子さん、「練習をやりたくない」とこぼしているお子さんも中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
親としては、行事の練習を通して、お子さんを大きく成長させてあげたいもの。
そして、お子さんの晴れ舞台で頑張る、かっこいい姿を本番で見たいもの。
それなのに、親のそんな理想とかけ離れて、行事のための練習で疲れている、嫌がっている姿は、親としてもすごくつらいものですよね。
お子さんがこういう状況になっているとき、どうやって対応してあげればいいでしょうか?
関連記事はこちら▼
年中のときに、「今年は劇に出ない」と宣言していた私の息子
実は、現在年長になる私の息子が、一年前の年中の時、劇の前に苦しんでいました。
劇の2ヶ月ほどの前の運動会で、この学年の課題だった、鉄棒の前回りがほかの子と違ってできていませんでした。
回ることへの強い恐怖心から、先生たちが一生懸命特訓したもののできるようにならなかったのだそうです。
その頃から、自分に自信を無くしていました。
劇の題目が決まったその日から「今年は劇に出ない」と家で私に宣言したのです。
理由を聞くと、「恥ずかしい」とのこと。
保育園でも同様に宣言していました。
1年前の年少のときは、劇では自分の役をとても楽しんで、セリフも大きな声で堂々と言えていたので、「なんでこんなことになるのだろう?」と不思議でした。
発達でこぼこがあって、その半年前から療育に通い始め、私自身も基礎講座で息子への対応を学び終わり、非常に息子は大きな成長を遂げていた、そんなさなかの出来事。
どうしてそんなことになるのだろう?と親子で辛い時間を過ごしていました。
行事は発達でこぼこのある子にとってはすごく大変なもの
運動会にしても、劇にしても、行事は発達でこぼこのある子どもにとっては、大変なことです。
いつもと違うことや、列に並ぶこと、指示に従うことが苦手な子にとっては、多くの新しいことを覚えて挑戦する、行事の練習が苦痛になることが多いのです。
できない、わからない、がいつも以上に増えて自信を行事を通して失っていくこともあります。
そして、練習にきちんと参加できていないという子であっても、決してさぼっている、楽しているわけではありません。
年中のとき、劇の練習に参加できず、一人でお絵描きなどして遊んですごさせてもらう日が続く中でも、帰宅するとひどく疲れた様子で、トイレに行く回数は異様に多く、夕食を食べずに寝ることすらありました。
参加ができない状態というのはかなり疲れた状態で、頑張れと言われても頑張れる状態ではないのです。
そんな、発達でこぼこの子どもたちにとって大変な行事であっても、楽しく、かつその子なりに成長を感じながら過ごしたいものですよね。
2年がかりではありましたが、「行事が嫌だ」から行事で楽しく成長できるようになった、私の息子の話を紹介します。
行事がつらい、から1年で行事が楽しい!に変えることが出来ました!
ほかの子どもたちと同じように劇の練習を楽しめない、参加自体したくない、そうなっているとき、最初は私も動揺しました。
ですが、自分の子どものころを思い出してみました。
私は年中のときに何の劇にでて、何の役やったか?皆さんは覚えていますか?
私は劇をやったかどうかすら覚えていません。
覚えているのは、親たちだけでしょう。
きっと大人になって息子の記憶に残るとすれば、保育園の行事が楽しかったか、苦痛だったか、そんなことくらいでしょう。
それだったら、無理やりやらされてつらかったという記憶を残すのでなく、納得いく形で参加させようと腹をくくりました。
具体的に私と息子がやってきた方法は以下の3つです。
気持ちをよく聞く
参加したくない理由をはっきりさせることはできればラッキーですが、理由は本人にもわかっていないことも多いものです。
とにかく、参加したくない、という気持ちをよく聞いて吐き出させてあげましょう。
理由ははっきりしなくても、はっきりさせようと問い詰めない、ただ気持ちをしっかり聞くのがポイントです。
「劇に参加したくない」と年中のときに訴えていたころは、療育に通い始めて半年たったころでしたので、対応を療育の先生、保育園の担任の先生と一緒に話し合いました。
療育の先生からも、保育園の担任の先生からも、「まずは、ママは、ほかの子と同じように参加できていない姿を本番でみると、精神的にそれなりにしんどさはあると思います。大丈夫でしょうか?」と確認されました。
そこは、「誰のための行事なのか」を考えると答えは決まっていました。
本番で、みなと同じ動きをしていない様子を見たら私自身ちょっとくらいショックはあるかもしれないけれど、子どもの気持ちを優先させたいと答えました。
また、同じ療育に通うママに息子の話をすると、「やりたくない、ということが自分の口から言えるってすごいことよ。それはほめてあげていいこと。言えなくて我慢し続ける子よりずっと対応しやすいよ」と言われました。
あ、そんな考え方でいいんだ、と気が楽になりました。
息子に参加したくない理由は、「はずかしい」というだけで、その当時は誰もが本当の理由を聞き出すことはできませんでした。
1年たった今から思えば、運動会で前回りが出来ずに自信を無くしていたことと、吃音気味でセリフを大きい声で言うと詰まってしまうことに恥ずかしさを感じていたということかと想像します。
自分でもそれが説明できなかったのだと思います。
理由はわからなくてもいい、とにかく気持ちを聞いて沿う形をとろう、と保育園の先生と話し合って決めていきました。
療育の先生からは、息子はアドリブ演技もできる子なので、いてもいなくてもいい役を用意して、当日突然やりたくなった時に参加できるようにしてあげては、と提案されました。
なかなか「やりたい」がみつからず、結局、劇の3日前に、裏方の大道具の手伝いを先生に提案されると、「やりたい」と返事したようで、ペープサートで背景を動かす係をやることになりました。
本番は楽しそうで、私と夫に手を振っていたくらいです。
難易度を下げる、こまめに休憩をさせる
行事における課題を、挑戦しがいはある、けれども難しすぎない、というレベルに設定してあげましょう。
難しすぎて投げ出して全部やらない、となることだけはなるべく避けられるといいですね。
そして難しいことに挑戦するのは疲れることなので、こまめに休憩を入れてもらうようにお願いしましょう。
保育園の先生方には、年1・2回程度やってきた発達検査の結果を提供し、何が得意で何が苦手、どうすれば息子に指示が入るのか、定期的に情報提供しており、理解や配慮は常にいただけていました。
その次の年の、年長のときの運動会は、年中のときの劇でしんどい思いをしていたことも考慮し、楽しく、かつ挑戦してやりがいのある形を模索してくださいました。
運動会では年長での障害物走の課題は、鉄棒の逆上がり。
回転への恐怖が強すぎる次男は、年長になっても前回りすらできません。
この子の兄は、保育園年長のときに、運動会に向けて逆上がりの練習を自宅で頑張って本番成功させていましたが、同様のことをやるにはこの子には負荷が高すぎる、と私も保育園の先生方も判断しました。
鉄棒の課題は、より簡単な足抜きまわりにとどめておき、ほかの跳び箱と側転、徒競走、和太鼓、ダンスはしっかり頑張る形にしました。
鉄棒以外については、非常に熱心に練習に取り組んでいたということです。
そして練習期間は、集中力が切れる前に休憩したり、運動会と関係ない気楽な遊びを挟んでくださるなどの配慮もしてくださっていました。
家ではとにかく、頑張っていることを褒めて、しっかり睡眠をとらせて疲れをとるようにしてあげていました。
テンションが上がる仕掛けを用意する
これを持っていたら、着ていたらテンションが上がる、というアイテムを使ってみるのもよいですね。
保育園の先生のアイデアでしてくださったことですが、息子のクラスでオリジナルクラスTシャツを作成しました。
担任の先生とクラスメートで、自分たちの好きな模様に藍染めをしてつくったものです。
運動会の年長参加種目の和太鼓演奏でも、全員でクラスTシャツを着ていました。
こうした先生方の工夫があり、息子は、運動会が「待ちきれないくらい楽しみ」と毎日のように言って楽しみにし、本番も堂々とした演技、とても楽しんでいました。
鉄棒はできなくても徒競走では1等、側転もかなり上手、全部苦手、ではなく、得意不得意の差は相当でしたが、それでも充実した運動会になりました。
この記事を書いている現在は、年長さん、保育園最後の劇の練習をこれから始めようという時期です。
今年は、息子は先生に「セリフは言うのは恥ずかしいからやりたくない」(こういったことから、吃音を気にしているのでは?と気づきました)と言いつつ、「うしろのほうで楽器演奏やらせてもらいたい、ハンドベルやらせてほしい」と申し出ていたそうです。
去年の「恥ずかしいからやりたくない」とは全く違う伝え方を先生に自らしていたのです。
昨年よりは納得のいく形で行事参加が出来ることは、息子なりに挑戦し成長できる場にできることを確信しています。
同じように行事への参加しぶりに苦しむ親子、いらっしゃると思います。一例として参考にしてくださいね。
楽しく成長できる場にする方法は何か見つかるはずですよ。
執筆者:いぬいまき
関連記事はこちら▼
▼発達でこぼこがあってうまくいかない、そんなときにどうするか、メルマガを一緒に読んで勉強してみましょう