自閉症スペクトラム(ASD)の子どもの、パターンから外れると動けなくなるこだわりによって、生活がしにくく、困っていませんか?こだわりは、なくそうとせず、変化させて良さとして生かす考え方や方法をお伝えします。 |
ASDの次女のこだわりをなくそうとしていました
生活の中で困りごとになることが多い、こだわりについてお伝えしたいと思います。
我が家の次女は自閉症スペクトラム(ASD)と注意欠陥多動性障害(ADHD)の診断を受けています。
保育園のときには、負けるのが悔しくて、椅子取りゲームに参加できないことがありました。
姉や、隣の家の友達と鬼ごっこをしましたが、自分が捕まりそうになると急にタイムとマイルールを持ち出してきて、おにごっこに参加することができませんでした。
小学校の3年生から入った合唱団には、毎朝練習に励むことができました。
しかし、玄関の鍵が開く前に学校に到着していたいというこだわりがあり、遅れると、大泣きになることもありました。
そこで、遅れそうになると、車で送ることもしばしばありました。
このようにこだわりに家族や周りの人が振り回されてしまうので、なんとかこだわりをなくすことを考えていたのですが…。
実は、「こだわりをなくす」という私の考えが間違っていたことに気づいたのです。
こだわりの特徴とは
こだわり行動には3つの特徴があります。
① 変えない
ものの位置が決まった場所にないと気が済まない。
靴や服は好きなものだけを身につけていたい。
これは感覚過敏が関わっていることもあります。
急な予定変更が苦手で、どうしても予定通りにしたい。
予定と違うとパニックになることもあります。
② やめない
水遊びや砂遊びゲームなど好きな遊びをいつまでもやめられない。
ブランコなど、次にやる友達が待っていても、いつまでも譲れない。
絵を描き始めたら止まらない。
紙からはみ出しても描き続ける。など
③ 始めない
初めての場所が怖い。
家のトイレ以外では用を足せない・食べもので受け入れられない食感のものがあるなど、
このようなこだわりがあることで、生活に制限ができてしまったり、新しいものを受け入れられないことで、学びが広がらなくなってしまったりすることがあります。
こだわりより、もっと怖い二次障害
こだわりをやめさせるため、子どもの行動を止めようとします。
すると、子どもは自分のやりたい行動を止められるので、そのイライラを自分に向けて、自分で自分の体を叩いたり壁や床に頭を打ちつけたりする、自傷行為が起きることもあります。
自分の行動を止められることで人に攻撃することもあります。
ASDのお子さんは、コミュニケーションがうまくいかなかったり、不安やマイナスのイメージを強く記憶してしまったりする特性から、そうでないお子さんより、緊張感や不安感を抱えて、うつ病、不安障害、引きこもりなどの二次障害につながることもあります。
ですから、やりたい行動を止められてイライラして自分や人に攻撃するという経験をできるだけしてほしくありません。
このようなイライラをいかに少なくするのかが大切になってきます。
こだわりのゴールはこだわりをなくすのではなく変身させましょう
では、どのように対応したらいいでしょうか?
まずは、自分や命を危険にさらすことでない、許せるこだわりは、あっても良いと考えます。
次女の場合でいくと、朝、鍵が開く前に学校に行きたいというこだわりであれば、できるだけ叶えてあげるようにサポートします。
また水が大好きなお子さんなら、花の水やりや、お風呂掃除のお仕事をしてもらい、その行動が人の役に立てるようなものに変えてあげることです。
人や社会に大きく迷惑をかけないものは、そのまま許していく。
または、人に受け入れてもらえる行動に置き換えてあげるようサポートしていくことを大切にしたいです。
こだわる行動の裏に、緊張感や、不安感を抱えていることも併せて知っておいていただくと、どうしてこだわりが見られるのかが、見えてくると思います。
ママとの温かいコミュニケーションで安心感が広がると、こだわりから外れる行動や事柄を受け入れる幅も広がってきますよ。
参考文献:『自閉症スペクトラムとこだわり行動への対処法』白石雅一著
執筆者:上條雅子
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