個性を生かす子育てがしたいと思っても発達障害グレーゾーンの兄弟にそれぞれ対応するのは大変。発達に良さそうなことをやらせたくても思うようにいかない。そんなときはブームを活用することで楽しみながら発達をうながす活動ができます。 |
我が家の発達障害グレーゾーンの兄弟の対応に困っていた毎日。人気アニメがポイントになった!
私が家は、
自閉症スペクトラム(ASD)傾向で不安がつよく敏感なところもある10歳の長男
注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向でじっくり何かに取り組むのが苦手な8歳の次男
発音やコミュニケーションが苦手で自分の気持ちをうまく伝えられない6歳の三男
様々な特性をもった発達障害グレーゾーンの三兄弟の子育てをしています。
3人とも個性がありますが、年齢が2歳違いとわりと近いところもあり、一緒に遊ぶことも多いです。
ただ、じっくり取り組むことが好きな長男に対して、すぐに飽きて他のことをしたがる次男。苦手なことや難しそうなことはできないとやりたがらない三男。
発達を促すために色々やりたいと思っても、同じことができなかったり、それぞれをうまくのせてやらせるのは大変。
すぐにやーめたとなったり、ケンカになってしまうことも多い状況でした。
ところが、あることをきっかけに、兄弟が同じことに興味を持つようになったのです。それはズバリ、鬼滅の刃!
我が家は最初、アニメ自体は見ていませんでしたが、これだけ世の中でブームが広がると私も含めだんだんみんなが興味を持つように。
次第に子どもたちは、鬼滅の刃ゴッコで楽しく遊び始めたので、ここから活動を広めたら兄弟仲良く活動できるのではと思い、色々と声をかけてみることにしました。
兄弟の支援の難しさと、大人も楽しめるアニメを使うことの効果
歳が近い兄弟、特に同性同士では、兄弟に自然とライバル意識をもつ傾向が強くなります。
それは、それぞれが刺激をし合って切磋琢磨してくれるといういい面で現れることもあります。
しかし、発達障害グレーゾーンの子どもたちは、ネガティブな記憶が残りやすいという特性があるため、兄弟に比べて自分はダメだと感じてしまいやすいです。
ライバル意識をうまく利用して頑張らせようというのはうまくいかない可能性があります。
間違っても「お兄ちゃんはできるのに」など、比較するような発言は避けなければなりませんし、兄弟がやっているからと無理やりやらせても、なかなかいい結果は出ないのです。
そして、脳の発達という面で考えると、発達させようと思ったときに大事なのは、子どもが楽しんでやることです。
脳は面白いと感じているときには働きますが、よくわからないと思いながらただこなすだけの活動では脳は十分働いていないことが多いのです。
そのときには、子どもの好き!面白い!と感じるものと組み合わせてやるのが一番ですが、それぞれ子どもの個性に合わせてお母さんが考えるのは正直しんどい。
そこで、今回の鬼滅の刃のブームを活用することがオススメなのです!
なぜ鬼滅の刃なのか?というと、なにより大人もハマれるアニメだというところ。
お母さんお父さんが一緒に楽しんでくれる。時には自分のほうが知っていることをお母さんに教えてあげられる。
家族でハマることのいいことは、感情の共有ができるところです。
家族で同じものをみて、面白い、楽しいなどの感情を共有することは、共感力やコミュニケーション力をつけるのにとても大切になります。
兄弟それぞれの好きなものも大切ですが、兄弟で同じものでも楽しんで欲しい。
それなら、ブームがチャンス!
兄弟の個性を活かしながら、家族で楽しんで活動を広げられた我が家のブーム活用法をお伝えします。
得意と苦手を組み合わせることで兄弟の個性を生かす発達支援
まず、長男に関しては、アニメ自体は苦手ですがYouTubeが好きでよく見ており、鬼滅の刃に関する動画もパロディ動画や解説動画などはよくみていました。
YouTubeをみるということは、脳に情報をインプットしている状態なので、脳の発達をうながすためにはアウトプットも同時に行うことが大切になります。
そこで大事なのはお母さんとの会話です。
長男は記憶力がいいので、そのYouTubeで得た情報を、たくさん教えてもらうようにしました。
一番強いのは誰なの?この人は何の呼吸を使うの?その呼吸を使うのは他にだれなの?など
以前からYouTubeの内容について聞くようにしていたのですが、ゲームの話だといまいちわからず、会話が進まなかったのです。
ですが、私も一緒にハマったことで話が広がり、たくさんアウトプットさせることができました。
弟たちともYouTubeの情報を共有することで、兄弟で仲良く会話が広がっていました。
そして次男は、じっくり座って何かをするのが苦手。特に、漢字の書き取りは家では断固拒否しています。
ですが、好奇心はとても旺盛。
鬼滅の刃についても、型の種類を知りたい、鬼滅隊の位は何があるのかなど興味を持っていたので一緒に調べ、それをじゃあノートに書いておこうと言うと、一生懸命書き写していました。
もちろんそれで漢字を覚えられるわけではないですが、そのときに、「集中してかけたね」「この字きれいにかけているね」など肯定の言葉もしっかりかけていきます。
それにより、文字を書くということ自体に抵抗が薄らいで、他のことも書いておこうなど自分で書き始めることもできるようになりました。
そして、その書き写したノートをもとにして、クイズ大会としてみんなに問題を出したりすることで家族が楽しめる活動にもつながり、ノートがとってもいいねとまた褒めるポイントにもなりました!
また、お父さんと一緒に色々な剣士の刀を段ボールと色ガムテープを使って作ることも、集中して楽しんでいました。
そして、三男は自分のやりたいことや、困っていることを伝えるのが苦手。
人に自分のことを伝えるのは、伝達系の脳のエリアを使います。
伝達系の脳のエリアは、発達の旬が20歳以降と言われ、幼児の時期はまだまだ未熟なので焦らずじっくり伸ばしてもいいのですが、伝達系の脳のエリアの発達を促すのには、歌うというのがとてもいい活動になります。
鬼滅の刃は主題歌もとても人気がありますよね。
そこで、本を読むのが好きな三男に、主題歌の歌詞をひらがなですべて書き出し、それを見ながら歌を一緒に歌うようにしました。
そうすると歌詞も覚えられ、自信をもってたくさん歌ってくれるようになりました。お風呂では兄弟も一緒に大熱唱しています。
文字を読みながら声を出すということは、小学校に入ってから必ずやる音読の練習にもなりますよね。
ネットで検索すれば、塗り絵や点つなぎなどの画像も出てくるので、鉛筆を持つ練習としてそういうのを活用してもいいですね。
大人としては、どうせなら何か将来に役に立つことにハマって欲しいと思ってしまいますが、このようにアニメなどでも、兄弟それぞれの個性に合わせて活動の幅を広げることで発達を促すチャンスにもなります。
なにより一番良かったのは、兄弟で好きなものを共有しているときは兄弟げんかも減りました!
一緒にいる時間が長くなる冬休み。みんなが好きなものを使って発達支援してみませんか。
近道は子どもたちの好きなものに大人もハマってみることかもしれません。
今では鬼滅の刃に一番ハマった私は、子どもが起きてくる前に過去のアニメをこっそりみて楽しんでいます。ママ自身もしっかり楽しむことをお忘れなく!
執筆者:岡村由美
▼兄弟の個性を生かすコミュニケーションのポイントをたくさんお伝えしています!