幼稚園の生活にはすっかり慣れ、お友達ともやり取りができていたのに、なぜか年長になり「幼稚園行きたくない!」が発生!子どもの特性や好きを取り入れて、幼稚園と家庭の両方で対応していくことで登園しぶりを解決し、今では楽しく通うまでになった方法をお伝えします。 |
年長で突然「幼稚園に行きたくない!」と登園しぶりが発生!
年度始めの1学期、新入園児たちは慣れない集団生活を前に、泣いていたり、お母さんから離れられなかったり、そんな姿は毎年恒例の風景ですね。
小さな体に慣れない制服を着て泣いている小さな年少さんの姿は、周りから見ると微笑ましいものです。
そんな中、一人激しく泣き、門をくぐるのをひらすらに拒む年長児が…
きっかけは運動会の練習でした
我が息子です。
息子は入園後、集団生活の苦手さが目立ち発達検査を受けた結果、自閉症スペクトラム(ASD)傾向で体の不器用さがみられるということで療育を受けてきました。
そうして年少、年中と過ごしていく中で、少しずつ集団生活にも慣れ、クラスメイトともやり取りができるようになっていき、幼稚園に行きたくない!ということもなく、このまま穏やかに年長を迎えられるものと思っていました。
しかし年長になりクラスが変わったことで、新しい環境に慣れるのに時間がかかるタイプの息子にはストレスが少しずつたまっていったようです。
環境に慣れるのに時間がかかっているのだから、時間が解決するだろうと思い、毎朝何とか説得や励ましをして送り出していました。
こうして4月から5月半ばまでは「嫌だな」と言いながらも、時間がかかっても頑張って登園していました。
そんな矢先、決定的であったのが、運動会の組体操の練習が始まったことでした。
朝起きて一言目に「今日は行かない、休む」から始まり、着替えも朝食もモタモタ…
出発の時間が迫ると泣き出し、こちらがなだめても勇気づけても、イヤイヤ~、何とか説き伏せて車に乗せても数十分はドライブ、着いても車からは降りようとせず時間が過ぎていき、
結局泣いている息子を半ば無理やり先生に託す、そんな毎日がやってきました。
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無理やり行かせるべき?休ませるべき?どう対応したらよいか分からず悩む日々
登園しぶりが始まった頃は、今日はすんなり行けるのか?時間がかかっても行くのか?お休みするのか?と毎朝息子の様子に振り回されているような状態でした。
また、そんなに嫌なら休んでもいいと思う半面、周りからは休むと癖になるから無理やりでも行かせた方がいいという意見があったりと、対応の正解も分からず、その場しのぎの対応になっていたと思います。
私自身の予定も立てられなかったり、変更しなければならなかったりすることにもストレスを感じていました。
親子共々精神的に落ち着かない毎日を送っている中で、今までは気にならなかった息子のできていないことに注目をしてしまうことが増えていき、気付けば毎日ガミガミ言うように…
ただでさえ幼稚園で嫌な思いをしているのに、家庭でも注意されてばかりで、このままでいいわけはない、けれどどうしたらいいのか分からない、誰かに対応を教えてもらいたい、そう思っていました。
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年長になったからこその幼稚園に行きたくなくなる理由
年少なら幼稚園に行きたくない気持ちは想像がしやすいのではないでしょうか。
今まで親とずっと一緒の生活だったのが、突然毎日長い時間離れて集団の中で生活をしなければならないとまどいと不安で最初は誰しもグズりたくなりますよね。
しかしながら、幼稚園の生活自体にも慣れていて、知っているお友達もクラスにいる年長になってなぜ「幼稚園行きたくない」が起こるのでしょうか?
年長になると、コミュニケーション面では友達と協力して一つのことに取り組んだり、相談して物事を決めたりする機会も多くなります。
また、友達同士の会話もグッと増え、会話のキャッチボールが複雑になってきたり。
運動面では、補助輪なしの自転車に乗れる、縄跳びができる、逆上がりができるなど、できる子が注目されるようにも。
周りを見ることができるようになったのは喜ばしい成長の一つですが、同時に自分とクラスメイトとのできているできていないの違いがより明確に見えてくる時期でしょう。
特に体の使い方が不器用な息子にとって、組体操の練習では、みんなは先生の真似をしてすんなりできているのに、自分は上手くできないことがはっきりと分かってしまい自信をなくしていったようです。
これまで我慢して頑張って登園していたことに拍車を掛けて、苦手なことを幼稚園でやらなければいけないことがどれほどストレスだったか。
当時のことを思い出すと、早い段階でもっと上手く対応してあげればよかったと申し訳ない気持ちでいっぱいです。
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子どもの特性、好き、得意に合わせた対応~幼稚園編~
毎朝の登園を巡って振り回される日々の中で、私はお母さんの小学校に出会うことができました。
そして、子どもに対する関わりの大きなヒントをもらうことができました。
ありのままの子どもの姿を見つめて、子どもの特性、できていること、好きなこと、得意なことに注目する目を持てるようになったのです。
こうして幼稚園と連携しつつ、家庭での対応を見直したところ、息子の登園しぶりは少しずつ解消されていきました。
では具体的に、幼稚園ではどのようなことをしてきたのかをお伝えします。
苦手、嫌いなことは本人の納得いく方法で関わる
息子は公園で初めての遊具で遊ぶときには、まず他の子どもが遊んでいる様子をじっと観察してから遊ぶようなところがありました。
見よう見まねでやってみてできるようになるというよりも、まずしっかり見て何をやるのか、どのようにやるのかを頭の中で整理し納得してから動きたいタイプです。
幼稚園に行きたくなくなってしまった一番の理由であった組体操。
先生から練習のときは「見てるだけがいい」と言うことが多いと聞いていました。
ですので、あまり熱心には誘わずに、見学したいときは見学をする、列から出ずにいたらそのまま練習に参加させてみるなど、まずは本人の意思を尊重するようにしていただきました。
息子も、はなからやりたくないと思っていたわけではなく、どうやったらいいのかというイメージをつかむ時間が必要だったのでしょう。
しばらくすると、息子自ら練習に参加すると言うことが増えていき、そのうち毎回練習に参加することができるようになっていきました。
幼稚園に行く楽しみを作る
息子は小さい頃から絵本が大好きで、幼稚園にある図書館のような図書スペースもお気に入りの場所です。
先生との相談の結果、幼稚園に行くと楽しいことがある、と思えるよう、給食後の自由時間になったら図書スペースへ行き、好きな絵本を選んで持ってきてよいことに。
ルーティン好きな息子には、給食後は絵本、と分かっていることで次の行動へスムーズに動けることも安心材料の一つになっていたと思います。
また、最初は一人で絵本を選びに行っていたのですが、しばらくするとクラスメイトが一緒に行ってくれたり、息子からクラスメイトを誘うことも出てきて、お友達との関わりを持つきっかけにもなりました。
家庭では「今日はどんな絵本を選んだの?」と会話の糸口にもなりましたし、「いい本を見つけられてよかったね」「お友達と一緒に読んで楽しかったね」と、
今日を振り返り、ポジティブな記憶を定着させることで幼稚園へのイメージを楽しいものにしていくことができました。
園によってはできるできないの幅が狭かったり、個別対応が難しい場合もあると思いますが、
まずは子どもの特性や、苦手なこと、好きなことをお母さんが理解し園側に伝えることで、信頼関係を築きながら、同じ方向へ向かって相談できたことが重要であったと感じています。
子どもの特性、好き、得意に合わせた対応~家庭編~
ルーティン好きを利用した朝の支度習慣づくり
家庭での取り組みで最も効果的であったのが、もともとルーティンが好きで決まったことに安心感を覚えるという息子の特性にピッタリとはまった「朝の準備ルーティン表」です。
何時に何をする、それが時間を守って行動できたら◎、行動できたら〇、できなかったら空欄(×はつけない)、という表を作り、見やすい場所に貼り出します。
そして、できたらすかさず褒める!
たとえば、このような当たり前の準備行動でいいのです。
①7:00 本を読む
②7:20 朝ごはんを食べる
③7:50 顔を洗う
④7:50 歯磨きをする
⑤7:50 着替える
⑥8:20 時計を見て出発する
ポイントは、以下の通りです。
●子どもと一緒に表を作る。
お母さんが勝手に作ってしまっては、子どもからするとやらされている感が出て取り組む気持ちが出にくくなってしまいます。
●子どもがいつもしている行動(◎or〇がつくこと)を多めにし、挑戦させたい(◎or〇がつきにくい)行動は一つしかいれない。
これで毎朝、表には必ず◎か〇ばかりがつき褒められることがたくさん!
昨日より今日、今日より明日、とやる気が高まります。
●×をつけずに空欄にするというところも、やる気を削がないポイントです。
朝からたくさん褒められ、できたことが表を見るなり明らかで、自分でもできた!という自信が持てるようになっていったと思います。
また嬉しい副産物として、時計を見ることが習慣化され、時計が読めるようになり、時計を見ながら行動するということまでできるようになりました。
登園するかどうかは別として、時間までには朝の支度が整っているという日が増えていきました。
幼稚園・家庭それぞれの対応で、「幼稚園に行きたくない」は卒業!
このように幼稚園と家庭で対応していくこと数か月、激しかった登園しぶりはすっかり落ち着きました。
運動会では、自分なりの精一杯の頑張りで組体操の演技もできました。
また給食後の絵本タイムは、お友達と遊ぶことのほうが楽しくなったようで、今では毎日行くことはなくなっています。
そして、今では「朝の準備ルーティン表」がなくても自分で準備を進められるようになっています。
何より驚くべきは、幼稚園が楽しい!と言うようになり、誰よりも早く幼稚園に着きたいと言うようにまでなったことです。
行きたくいない原因は、子どもの特性や苦手からくる様々な理由があり、対応策もそれこそ千差万別。
私自身、子どものありのままの姿を受け入れ、子どもの特性を見る、分析する目を持てたことが解決のスタートであったと感じています。
まずは子どものことを理解する、そこから始めてみませんか?
執筆者:菅 美結
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