発達でこぼこの子育ては常識が通用しないことが多いから、育児方針が合わなくて夫婦喧嘩になりやすいんです。夫婦で口を開けば文句ばかりで、「今さら何を話せばいいかわからない」というママでも、楽しく会話ができるようになる方法をお伝えします! |
ASDグレーの長女をめぐって夫婦喧嘩ばかり
我が家には自閉症スペクトラム(ASD)グレーゾーンの長女がいます。
コミュニケーションの苦手さがあり、高校生のとき、わからないことがあっても先生に聞くことができず、登校をしぶることがありました。
さらに夜遅くまでSNSやゲームにのめり込むようになり、朝起きられなくなりました。
「スマホ依存になってほしくない」と焦った私は、スマホの制限をめぐって頻繁に親子バトルを繰り返していました。
寄り添っても叱っても効果はなく、「いったいどうしちゃったんだろう?」「私の育て方が悪かったのだろうか?」と、母親としての自信をなくしていたとき、お母さんの小学校に出会いました。
科学的に根拠のある対応を学び、親子のコミュニケーションを整えて1ヶ月もすると、反発ばかりだった長女が自分から明るく話しかけてきたり、「最近、勉強がんばってるんだよ、すごくない?」と、やる気を取り戻すことができたのです。
ところが、夫は相変わらずで、私に起こされてなんとか登校する長女に対し、「朝くらい自分で起きないと!」
学校に間に合わないので私が送迎すると、「学校くらい自転車で行け!」
と否定する言葉ばかりです。
できていないことばかり指摘するので、カッとなりやすい長女はヒートアップしてしまい、危険を感じて私が止めに入ることも一度や二度ではありませんでした。
夫の言っていることもわかるけど、長女だって急に完璧になんてできません。
「少しずつ自信をつけられるように、できたところを認めてあげてほしい」といくら説明したところで、夫は「俺には理解できない!」とはねつけるだけでした。
だから私はつい、「余計なこと言うくらいなら黙ってて!」と、夫を否定していました。
このときの私は、「自分のやり方が正しいのだから、夫に対応を変えてもらおう」と考えていたんです。
そのたびに夫婦で言い争いに発展してしまい、いつの間にか、口を開けば文句ばかりの危機的状況だったと思います。
発達でこぼこの子育てで夫婦喧嘩が増える理由
発達でこぼこキッズの子育ては、子育ての常識が通用しないことがたくさんあるため、夫婦の育児方針が合いにくく、コミュニケーションのすれ違いが起こりやすいのです。
育児方針が合いにくい
夫は決して理由もなく子どもを叱るような父親ではないのですが、ASDグレーゆえの、長女の「融通のきかなさ」や「小さなこだわり」を、「わがまま」や「おかしい」ととらえて、叱ることがよくありました。
発達でこぼこキッズは、一見「無駄」と思えるようなことをしないと気がすまなかったり、「簡単」に見えることがすごく難しかったりと、周りから理解されにくい行動や苦手さを持っています。
また、一般的なしつけ中心の子育てではうまくいかないことなどから、夫婦で育児方針が合わない、ということが起こりやすいのです。
コミュニケーションのすれ違いが起こりやすい
私は良かれと思って夫にASDの特性について説明したり、アドバイスしたりしていました。
このアドバイスが、夫にしてみれば、「否定された」「文句を言われた」と感じてしまったのです。
このコミュニケーションのすれ違いが、夫婦喧嘩の要因になっていました。
夫が思うように変わってくれないことで、私はイライラして夫に優しくできなくなるし、否定された夫もまたイライラして子どもに厳しくあたるようになるという、負の連鎖も生まれてしまいました。
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喧嘩ではなく協力して行いたい発達でこぼこの子育て
発達でこぼこキッズの子育ては一筋縄ではいかないから、ふつうの子育ての3倍も大変だと言われます。
ママが一人で頑張るだけでは、どこかで無理がきてしまいます。
私自身も、夫に対して「余計なこと言うくらいなら黙ってて!」と言ってみたものの、仕事と家事と子育てをすべて背負いこんでいっぱいいっぱいになってしまい、つぶれそうになった経験があります。
また、夫に不満をぶつけながらも、心の奥底では、「この大変さをわかってほしい」「できれば夫に味方であってほしい」と願っている自分に気づき、夫婦喧嘩ばかりの現状を本気で変えたい!と思ったんです。
同じように感じているママ、きっと多いのではないでしょうか?
発達でこぼこキッズを育てるママこそ、夫婦関係を良くして、協力して子育てをしていきたいですよね。
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夫婦喧嘩ばかりの毎日から抜け出す第一歩は、興味を持って〇〇する
すっかり冷え切っていた夫婦関係をなんとかしなければと思った私がとった行動は、否定ばかりだった夫へのコミュニケーションを肯定的なものへと変えることでした。
ですが、喧嘩ばかりの夫婦が急に明るく会話しようと思っても「今さら何を話せばいいの?」って思いませんか?
そこで、私が試してみた中から、喧嘩ばかりの夫婦でも楽しく会話できるようになる、おすすめの方法をお伝えしますね。
それは、夫の好きなものについて「興味を持って質問する」ことです。
我が家の例を挙げるとこんな感じです。
お酒が大好きな夫に、「ビールなのにプリン体ゼロってどういうこと?」
趣味の雑誌を買ってきたときには、「この車に乗る人ってさ、やっぱりこだわりがあって乗ってるのかな?」
などと、夫の好きなものについて、興味を持って質問をします。
話してくれたことに対して「へ~なるほど~」「たしかに〇〇だね」というようにあいづちをうったり同意することで、さらに会話が続きやすくなります。
楽しく会話ができるようになると、たとえば夫が夕食の支度を手伝ってくれたときに、「手伝ってくれて助かる~ありがとう!」と感謝の言葉も自然に口から出やすくなります。
楽しく会話できたという成功体験の記憶があると、肯定的に反応しやすくなってくるんですよ。
この「質問する」という方法は、肯定的注目のテクニックの一つです。
興味のあること、好きなことを話すのって大人だってうれしいものですよね。
「たいしたこともしてもらってないのに、ありがとうなんて言えない」と思っているママも、質問なら話しかけやすいのではないでしょうか?
質問することをきっかけに夫婦の会話が増えたことで、夫と長女の関係にも変化がみられるようになりました。
以前なら長女にダメ出しばかりだった夫が、夕食時に「これうまいよ」と長女の好きなメニューをすすめたのです。
すると、長女も自然に「なに?食べる食べる!」とやりとりが生まれました。
無視するか文句しかなかった二人が、穏やかに会話ができるようになるなんて、奇跡のようでした。
育児方針が合わなくて夫婦喧嘩ばかり、とお悩みのママは、まず夫婦のコミュニケーションを変えてみませんか?
そのきっかけとして、「質問する」方法をぜひ試してみてくださいね!
執筆者:森山さとみ
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