飛び出すADHD傾向の小学生を交通事故から守る「5つのステップ」で通学の心配を減らそう!

飛び出しなど交通事故につながりやすい注意欠陥多動性障害(ADHD)の特性をもつ小学生の通学、安全は守れていますか?叱っても諭しても改善できないのなら、この5ステップを試してみてください。子どもたちに自分の身を守る力をプレゼントしましょう!

小学生の交通事故原因のいちばんは、通学中の〇〇

警察庁の「子どもの交通人身事故発生状況」という統計によると、子どもの交通事故原因でいちばん多いのは通学中の「飛び出し」によるものだそうです。

また、どの場面で事故が多いかを調べた統計では、多い順に下校中・登校中となっていて、通学時の危険度が高いという結果がでています。

次いで公園やお友達の家に向かう途中での事故も多く起こってしまっています。

事故原因のトップが「飛び出し」と聞いて、我が子の普段の姿を想像して不安を強められたお母さんも多いのではないでしょうか?

しかし、子どもたちはどんどん手を離れ世界を広げてゆきます。いつまでも一緒にいて見守ることはできません。

子どもたちが自分の特性とうまく付き合いながら、自分の身の安全を自分で守れるようになってほしいというのが切実な願いだと思います。

ADHD傾向の子どもの交通事故リスクが増える2つの理由

まず知って頂きたいことは「飛び出しのような危険な行動にも、理由がある」ということです。この「理由」を知ることが、子どもを飛び出し事故から守る初めの大切な一歩になります。

理由1:脳の特性

ADHDには多動性や衝動性・不注意などの特性があり、それらは飛び出しなど交通事故に直結する行動になりやすい特性といえます。

気づいた時には瞬間的に飛び出してしまっていた・他事に夢中になって信号や周りの状況に注意がいかない・ルールを覚えきれない・うっかり…などなど。

しかし、それらの行動は、本人の意思ではコントロールできないことがほとんどなのです。なぜなら、脳の未熟さや特性からきているからです。

さらに発達でこぼこの子どもたちは脳の特性上、教えられたことを理解したり成果を出せるようになるまでに、人一倍の苦労を要することが多くあります。

ですから、学校や家庭で一律に交通安全ルールを教わっていても、なかなか理解できない・分かっていても守れない・止められない…などというしんどさを抱えているのです。

理由2:子どもなりの強い理由がある

次に紹介するのは、ADHD傾向の私の息子や学童保育の子どもたちが経験した飛び出しの一例です。

・反対車線に友達がいるのを見つけて、「バイバイ!」と言いたくて車道に飛び出した。
・信号が点滅しているのを見た瞬間、「いそがなきゃ!」とダッシュし赤信号の横断歩道に突入。
・友だちと追いかけっこをしながら下校して、車道に飛び出した。
・ボールを追いかけて飛び出した。
・車道にキラッと光るものを見つけて、車道に飛び出し拾いに行ってしまった。

幸いどれも事故にはなりませんでしたが、一歩間違えれば取り返しのつかないことになる場面です。

目の前の目的や楽しみなど、自分なりの理由に一直線になる傾向が強いので、より飛び出しの先の危険が見えなくなってしまうのですね。

以前の私は「飛び出した」という結果だけを見たり、理由そのものを否定してしまっていました。

そして飛び出したことを叱り、とても危険な行動であったことや、こうするべきだったを、ときに脅しも入れながら延々と諭し伝えていました。

けれど、それではそのときだけの対応で終わってしまい、新たな飛び出しを減らすことには、あまり繫がってくれませんでした。子どもたちの脳には、届いていなかったのです。

飛び出すADHDっ子に止まるチカラを!「5つのステップ」

飛び出しは子ども本人はもちろん、周りにも危険をもたらしてしまう行動で、どんな理由があっても、なくしていかなくてはいけない行動です。

しかし、発達障害の子どもたちには、バシッと叱って危険であることを伝える王道のやり方では効果がでない場合が多くあります。そんなときには、この5ステップを試してみてください。

ステップ1:頭ごなしに叱らない

日頃から注意され怒られる経験や、お友達から「また○○君が飛び出した!」などと言われる経験が積み重なっていることで、「どうせオレは飛び出すヤツだ」と脳が思い込んでしまいます。

またそうした経験の積み重ねによって、脳が注意を素直に受け入れられない状態になってしまいます。怒られることを察知した瞬間、シャッターを閉じてしまうのですね。

結果、飛び出しなどの危険な行動が強化されてしまうという一面があるのです。

ステップ2:「無事でよかった」と抱きしめてあげる

飛び出す我が子を止めた瞬間、第三者から飛び出したことを聞いた瞬間、怒るのではなく抱きしめて、そして「無事でよかった」と伝えてあげてください。

いちばんの願いは、あなたの安全」そんなお母さんの心からの想いを伝えるとともに、お子さんのシャッターを開いて、次のステップを脳に届ける準備をしてあげてほしいのです。

ステップ3:飛び出しの理由を受けとめる

子ども自身も、自分がなぜ飛び出したのか分かっていない場合が多くあります。

また「○○したかった」という自分なりの正義が強い状態では、飛び出したという自覚そのものがなく、オニから逃げただけ・ボールを取りに行っただけなど、飛び出しを認められないパターンもよくみられます。

ですからステップ1・2でお話しができる状態に整えた上で、一緒に飛び出してしまったときの様子を振り返ってみてください。

このとき、責めたり事情聴取にならないよう一頑張りできると、子どもたちがより素直に話せるようになりますよ^_^

穏やかに聞いて、「合っている・間違っている」は一旦おいて、子どもなりの理由を受け止めてあげてください。

お母さんと子ども自身が、飛び出してしまったときの状況を客観的に見られるようになることがポイントです。

<例1:バイバイしたくて飛び出してしまった>
子どもの理由:だって、バイバイって言っただけじゃん!なんでバイバイしちゃいけないいんだよ?!

母の対応例:そっかぁ。バイバイって伝えたかったんだね。挨拶は大切だよね。言ってもらえると嬉しいし、伝えたいよね。
<例2:車道にキラリと光るモノを見つけて、取りに行こうと飛び出した>
子どもの理由:だって、すげぇの見つけたんだもん。すぐ取らなきゃなくなっちゃうから、取りに行っただけだし!

母の対応例:そっかぁ、そんなすごいお宝見つけたんだね。お宝ハンターだね!
釘、ネジ、ガラス片、何かの部品などなど…。大人が「こんなモノが⁇」と思うようなものが子どもにはものすごい宝物に見えるんですよね(笑)

ステップ4:別の方法があると示し「じゃあどうする?」を一緒に考える

例1:それでもね、事故にあってしまったら、ママはもちろんたくさんの人が悲しむんだよ。バイバイしたい気持ちは大切。だからこそ、飛び出さないでバイバイを伝える方法があるんじゃないかな?

次にバイバイを伝えたいときは、どうしたらいいかな?
例2:だけど、そのお宝より、お母さんはあなたの方が何千倍も大切なんだよ!そのお宝のために飛び出しなんてして欲しくないよ!

今度車道にお宝を見つけたら、どうしたらいいかな?

など、お子さんの行動にあわせて「遠いときは心のなかでバイバイしよう」「大きく手をふって伝えてみよう」「お宝を見つけたら教えて♡あとから一緒に見に行こう」など、具体的なルールを一緒に考えてみてください。

ステップ5:飛び出さなかったときには思い切り褒める!

ほんの少しでも左右を見れたり、一瞬でも止まる動作ができたときなどには、些細なことでもしっかりと喜んで、褒めてあげましょう!スモールステップでできたことを増やしていきます。

「飛び出す前にワンクッションをおけた自分」を子どもが自覚するとともに、
その行動を褒められたことで、飛び出さない行動が脳に定着されていきます。

この5つステップを繰り返すことで、息子や学童保育の子どもたちに嬉しい変化が現れました!

「バイバーイって言いたかったけど、遠かったからさ、飛び出さないで心のなかでバイバイってしたよ。オレがバイバイって言って、〇〇が飛び出しちゃっても危ないからな!」

「さっきさ、車の道にすっごいきれいな石があったけど、車が来るからあきらめたよ!だから後で一緒に探しに行こうよ!」

これは、私が勤める学童保育所であった実際の子どもたちの言葉です。

飛び出したくなった瞬間、状況を判断して自分でブレーキをかける力がついているんですね!

もちろん、思い切り抱きしめて褒めまくりです(*^^*)
成功体験がさらなる安全の循環をつくってくれるんですよ。

身をもって学ぶには危険な交通事故。待ったなしの対策が必要です。

だからこそ子ども達と一緒に行動して様子を見られる春休みがチャンス!

飛び出してしまった場面を活かして5つのステップを繰り返すことで、1人でも多くの子どもたちに自分で飛び出しをストップできる力を贈ってあげられたら嬉しく思います。

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