叱らない子育てをしよう!不注意傾向の子どもにしつけがきかない理由と特性にあった対応とは?

叱らない子育てをしたいのに、つい不注意傾向の子どもを叱ってしまうお母さん。「怒られた」という経験は二次障害につながる心配も…。しつけで行動を変えることが難しい不注意傾向の子どもは、褒める子育てでグングン伸ばしてあげましょう。

不注意な子どもの子育て、困っていませんか?

「聞いているの!?」

あなたのお子さんに発達でこぼこがあって、その子が特に注意力に苦手を感じているのであれば、一度は言ったことがあるのではないでしょうか?

幼児期だと不意に道路へ飛び出そうとしたり、スーパーで迷子になりかけたり、心配で手を離して外を歩けないことも。

小学生になると、忘れ物やなくしものの常習犯だったり、いつも上の空でぼーっとしていて、呼んでも返事がかえってこない。

つい、お母さんが大きな声を出してしまいやすくなってしまう不注意な子どもたち。

こんなにしつこく言っているのに全然響いていない…どのように子育てしていけばいいか、分からなくなっていませんか?

特性のために、しつけで行動を変えることが難しい

叱られて得るものは「怒られた」というネガティブな思い出

私の息子は「超」がつくほどの不注意です。

幼児のころは「周りを見ずに走っていったら危ないでしょう!」と、小学生になってからは「先生はなんて言っていたの!?ちゃんと話を聞いてこなくちゃ!」と、たくさん大きな声を出してきました。

学校でもトラブルはつきものなのでしょう。「今日先生に怒られた。でもなぜ怒られたか分からない」という頭を抱える発言も。

問いただしても答えが返ってくることはなく、結局よく分からないまま…ということは珍しくありません。

最終的に、彼の頭の中に残っているのは「怒られた」というただただネガティブな思い出だけ。

周りの大人は息子のためを思って叱っているつもりなのに、結果として彼の行動を変えてやることはできなかったのです。

しつけって、子どもを導いていくものではないのでしょうか?なぜ、不注意な特性があるとしつけがきかないように感じるのでしょうか?

不注意な子どもに、しつけがきかない理由

不注意な子どもは、ワーキングメモリーという分野に苦手を抱えていると言われます。

ワーキングメモリーとは脳の作業台などと表現され、一定時間にどのくらいの情報を覚えて処理できるか?という力のことです。

ワーキングメモリーが弱い(脳の作業台が狭い)と一定時間に覚えていられる情報が少なくなります。作業台に乗り切らない情報は、ぽろぽろとこぼれてしまうのです。

そのような子どもが、うっかり花瓶を割ってしまってお母さんに叱られる、という状況を考えてみましょう。

お母さんは、「なぜ割ったの?本当にもう…なぜ気を付けないの?床がびしょびしょじゃない!誰が片付けると思っているの?」とさまざまな情報を発信しながら叱ります。

この子どもの脳の作業台に一番残りやすいのは、おそらく「お母さんに怒られた」というネガティブな情報でしょう。また「花瓶を割ってしまった」という失敗体験の情報も残るかもしれません。

しかし「じゃあこれからは部屋の中でボール遊びはやめよう」とか「花瓶を割ってしまったらこんな風に片付ければいいんだな」など、次のステップに進むような高度な情報は、作業台に乗せるところまでいきません

脳の作業台が広い子どもは、叱られることで何かを学び、行動を改めることができるかもしれませんが、不注意な子どもにはとても難しいのです。

そして、もしこの経験をもとに気を付けようと思うことができたとしても、「気を付けていてもまたやっちゃった…」というのがそもそも不注意な子どもの特徴です。

けして、親のしつけ不足でも子どもの努力不足でもありません。不注意な子どもを叱っても、彼らの行動を変えることは難しいのです。

叱らない子育てで二次障害を防ごう

それでは、この子どもの状態に気が付かず叱責を繰り返すことで、彼らの心の中でどんなことが起こっていくか想像してみましょう。

また失敗して怒られた
一生懸命やっているのにまた否定された
自分はダメな子なんだ。
何をやってもうまくいかない
どうすればいいか、分からないよ…。

このように、度重なる失敗経験叱責され続けた経験は、子どもの心を深く傷つけ、どんどん自信を失い劣等感の塊のようになってしまいます。

その結果、うつ症状ひきこもり、過度に反抗的な態度をとり始めるなどの二次障害につながっていくことが知られています。

一生懸命子育てをしているお母さんなら、この状態はなんとか避けたいと思うはずです。

ついつい、不注意傾向のある子どもに大きな声を出してしまいがちなお母さんは、今すぐ叱らない子育てを目指してほしいと思います。

叱らない!褒める子育てで不注意な子どもを伸ばす!行動の4分類

子どもの行動を分析し、好ましい行動を褒めて伸ばすのが基本の考え方です。その上で、特に不注意な子どもに対するポイントを解説していきます。

好ましい行動をしたときは、オーバーに褒める

子どもの様子によっては5分くらい褒めっぱなしでもいいかもしれません。

不注意な子どもは、叱っても効果が薄いのですが、逆に褒めても効果が薄い…ということが起こります。

褒めた後の反応がないと届いていない可能性があるので、子どもの様子をしっかり観察することも忘れずに。

にこっと笑ったり照れるようなそぶりを見せたり、喜んでいる様子ならあなたの褒めが子どもに届いた証拠です。

褒めることで自信ができてどんどん行動できるようになっていきますよ。ぜひ、子どもに届くような褒め方をマスターしてくださいね。

好ましくない行動をしたときは、叱らないでスルーする

周囲から反応が返ってこないと、子どもは面白くないと感じてその行動は減っていきます

ただし、不注意な子どもは「注目されていない」ことにも気づいていないことがあります。

その場合は、その行動は「まだできない行動」に分類されるかもしれません。ちょっとした気分の切り替わりを見極め、分かりやすい指示を出して次の行動を促しましょう。

許しがたい行動をしたときは、一歩ひいて考えてから…

許しがたい行動とは、命に関わる危険なこと・非人道的な行動などを指します。例えば、信号を無視して道路を渡る、誰かひどく傷つける言動などです。

この時ばかりは止めなければなりません。ただし「怒られた」だけが残らないように、感情的にならずに対応することが適切です。

この叱るテクニックが発動するのは、究極にダメなことをしたときだけ。

その子どもにとって、その行動は本当に究極にダメなことかどうか、一歩ひいて考えるということはとても大切です。究極でなければ“叱らない”が原則です。

望む行動が、まだできない行動だと判断したときは?

不注意な子どもは、もしかするとこの行動が多いかもしれません。脳を伸ばすコミュニケーションのテクニックで行動できるように促しましょう。

まずは子どもの聞く体制を整えさせることからスタートです。不注意な子どもにとっては、ここが最重要ポイントと言っても過言ではありません。

笑顔で、穏やかな声で、ゆっくりと間をとって、そしてしっかり名前を呼びかけて、こちらに注意を向けさせることが必要です。

子どもの視界に入ったり、肩をたたくなど、耳以外からの刺激を入れるなどの工夫もよいでしょう。

聞く体制が整ったのを確認して、ここで初めて指示を出します。このとき気を付けておきたいことは、考える隙を与えないほど、指示を分解して簡潔に伝えること。

不注意な子どもは、少し考えている間にも注意がそれるので、簡単すぎかな?と思うくらい簡単にしてあげてください。

「この部屋を片付けよう」ではなくて「車のおもちゃをカゴに入れよう」「絵本は本棚に並べてね」と、考えなくても行動できるレベルまで分解します。

そして、その分解された指示で行動が1つでもできたら、それはもう立派な好ましい行動です。

さきほどお伝えした通りオーバーに褒めて、不注意な子どもに成功体験として記憶させてあげてください。

脳の作業台を「お母さんに怒られた…」ではなく「お母さんに褒められた♪」でいっぱいにしてあげましょう。好ましい行動がどんどん増えていくはずです。

つい、大きな声で叱りっぱなしになっているお母さん。どんなに不注意だったとしても、褒めることで子どもは成長します。

子どもの特性を知って、叱らない子育てで伸ばしてあげてほしいと思います。

親子のスムーズなコミュニケーションは、子どもの発達を加速させる最高のサプリメントです。ぜひ、参考にしてくださいね。

執筆者:大塚 ひかり
(ななほしママライター)

▼気づけた今日を、スタート地点にしませんか?

タイトルとURLをコピーしました