発達障害・ADHDタイプのわが子を支援員の先生がサポートしてくれる…心強いことですよね。けれど、安心するのはちょっと待って!実際の学校体制の実情もご紹介しながら、お子さんが学校で落ち着いて過ごせるようになる家庭での支援についてお伝えします。 |
支援員の先生がいてくれるから安心って本当?
4月に入学を控えている、現在年長さんのお母さんでしたら特に、「支援の先生がついてくれるかどうか」ということが気になっていらっしゃるのではないでしょうか。
支援員とは、「特別支援教育支援員」といって、発達障害を含む障害のある子どもたちの学校生活での介助や、学習活動を支援する役割を持ち、教員のサポートをする職員のことです。
支援員の先生が1人増えれば、担任の先生が1人で見るよりも手厚いサポートが受けられる。本当にそう思いますか?
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元スクールカウンセラーの私が過去に経験したエピソード
ある年の入学式。支援の必要な子どものそばに「私、この子についてます!」と言わんばかりにお子さんにぴったりと寄り添っておられる支援員の先生がいました。
しかし、その子は式典の最中に立ち歩いたり、大声で歌を歌い出してしまいました。
支援員の先生がいくら声かけをしても一向に座りません。
むしろ言うことを聞かせようとすればするほど、子どもの歌声は大きくなり、しまいには体育館から逃げ出してしまいました。
これは、本人が悪いのでしょうか?それとも支援員の先生がうまくないから?
支援員の先生がついていても対応できなかったワケ
実は…発達障害・グレーゾーンの子どもには、支援員の先生が近くにいればいい!ということは必ずしもありません。
実は、ちょうど良い支援の距離というのがあるのです。
例えばADHDタイプの気の散りやすい子には、近づき過ぎず、必要なときだけ絶妙に声をかける必要があります。
反対に、自閉症スペクトラム(ASD)傾向の不安の高い子は、最初は近くで、徐々に遠くに離れながら、自分で助けを求める力を育てます。
特にADHDタイプの子どもは、注意散漫になりやすい特性を持っています。
授業を進めている担任の先生を見ているつもりでも、隣にべったり立っている支援の先生が気になって、どちらの先生のお話を聞いていいのか分からなくなってしまいます。
こんなふうに、子どもによってちょうど良い距離感は違ってきます。
そこで今回は、学校での支援の実情と発達障害・ADHDタイプの子どもが学校で落ち着いて過ごすために家庭でできることについて考えていきます。
知って欲しい!学校の支援体制の実情のきびしさ
けれど、よく考えてみてください。
学校体制の実情①~支援員の先生の立場~
ほぼ初めましての支援員の先生にいきなり指示だけ出されても「聞いてやるもんか〜!」 となるのが子どもの本音でしょう。
かたや支援員の先生としては 「何としても静かにさせなければ! 」という気持ちが先に立つでしょうから、頭ごなしに叱ったり、大きな声を出して言うことを聞かそうとしてしまいます。
特にADHDタイプのお子さんに対して怒って注意をすると、子どもの反発がさらに強くなり攻撃性が高まってしまうという特性を持っています。
このような場合、まずは根本的に、子どものことを良く知って信頼関係を築くのが先になります。
しかし、発達障害・グレーゾーンの子どもを支援するはずの支援員の先生は、非常勤であったり、時間契約のパートのような働き方のである方がほとんどです。
担任の先生と密に情報交換して、子どもたちの情報をきちんと把握する時間はほとんど取れないというのも実情です。
学校体制の実情②~担任の先生の立場~
そして正直、ベテランな先生ほど、1人でクラスを運営した方がやりやすいのです。
なぜなら、複数の大人が1つのクラスで連携して1つのことを成し遂げるには、それなりのチームワークや話し合いの時間、リーダーとなる学級担任の資質など、本当にたくさんの要因が関係するからです。
主婦の方は、ご主人と一緒に家事をすることを想像してみてください。 結局1人でやった方が早いということ、よくありますよね!
このように、「支援員の先生がついたから安心」という考え方がいかに甘いか、ということを改めて感じて頂けたと思います。
では子どもが教室で落ち着いた支援を受けるために、私たち親ができることとは何でしょうか?
発達障害ADHDタイプの子どもが、教室で落ちついて過ごせるようになるお母さんの対応とは?
学校とうまく連携することは大切ですが、学校だけに頼りきりになるのではなく、お母さんには学校には支援してほしいことをしっかり伝え、必要なサポートを受けてほしいのです。
実は発達障害・グレーゾーンの子どもたちが落ち着いて学校で支援を受けるには、お母さんにしかできない大切なことがあります。
それは子どもの気持ちを安定させることです。
では、お子さんの気持ちを安定させるためには、どうすればいいのでしょうか?
それは、「脳」を意識すること。そして、脳を育てるにはお子さんにとってお母さんの肯定的なコミュニケーションが絶対的に必要になります。
ADHDタイプのお子さんであれば、普段の行動でできていることに注目してみましょう。
「あいさつできたね」
「自分で着替えしたんだね」
「歯みがきしているんだね」
など、家の中でできていることだけに注目して言葉にしてあげるだけでいいんです!
そうすると子どもは自分の行動を肯定されて自信がつきます。そして、自信のついた子どもは、今まで注意しても収まることのなかった困った行動が減ってくるのです。
これは学校でできることではなく、家庭で、お母さんとのポジティブなコミュニケーションがあるからこそできることなのです。