我が子に自閉症スペクトラム(ASD)の傾向があって、こだわりに頭を抱えているお母さんはいませんか?こだわりをめぐる失敗体験で発見したのは、彼らの特性を理解して受け入れる大切さ。そして、彼らのこだわり体質を生かすこんな驚きの黄金ルールでした。 |
子どものこだわりにお困りではありませんか?
自閉症スペクトラム(ASD)やグレーゾーンで、こだわりという特性が目立つことがあります。
学校に行くときはこの道しか通れない、お茶を飲むときは絶対にこのコップじゃなきゃいけない、本はここで鉛筆はここに置かなければいけない…。
頑固で融通がきかず、しまいには癇癪を起こして大暴れ…。
家族や周りにいる人は困ってしまうことがありますね。
私の失敗体験談~衣服へのこだわり戦争~
着られる服がない!
私には現在小学校2年生の息子がいます。
彼は衣服に対して強いこだわりがあり、着られる服がかなり限定されています。
おばあちゃんが買ってくれたちょっとよそ行きのズボンも、デザインがおしゃれで裏起毛のあったかいズボンも、気に入らないのでまったくはきません。
息子は今、学童と放課後等デイサービスを併用しているので、どちらにもそれなりの「置き着替え」が必要なのですが…。
それなのに「お気に入りじゃないからどれも持っていけない!」という状態には悩まされました。
こだわりを矯正しようとして失敗
私は、「せっかくおばあちゃんが買ってくれたのに、なんではかないの!?」と、周りの目を気にして無理やりはかせようとしたり、
「先生が着替え持ってきてと言っているから。どれか持って行かないと怒られちゃうよ!」と脅すような声かけをしたり…。
なんとしてもいろいろな服を着られるようにしなくちゃ!と、息子の心をないがしろにして躍起になっていました。
そんなことをしたところで息子の衣服へのこだわりが変わることはなく、むしろ年齢が上がるごとに目立つようになってしまいました。
ASDキッズのこだわりをどう考えるか?
衣服へのこだわり戦争の終着点
なぜ、息子はこの服を着てくれないんだろう…?
私が息子を観察していると、お気に入り以外の衣服を身に着けないのにはそれなりの理由があると気が付きました。
彼は、肌触りなどの着心地、お腹周りの締め付け具合、動きやすさなどをとても気にしています。わがままではなく、少し感覚過敏がある、ということは否定できないと感じています。
ASDキッズのこだわりには、このような発達特性からくる苦手が隠れている場合があります。
この点に気が付いた私は、お気に入りではない衣服を無理に着させようとすることを控え、本人が納得したものを常に身につけられるように努めました。
平服は2パターンくらいをヘビーローテーションで着回せるようせっせと洗濯し、狭いお気に入りポイントをクリアしたズボンを、サイズ違いでいつまでも買い続ける…そんな日々を送っています。
ASDキッズのユニークな特性を理解して受け入れるべし
こだわりで何が問題になるかと言えば、そのこだわりを否定・妨害されることによる子ども自身のパニックや癇癪ではないでしょうか。
こだわる、ということ自体にそこまで問題はないことも多いように思います。
この経験で私自身が気付いたことは、「何よりも大切なことは、彼らのユニークな特性をお母さんが理解して受け入れてあげること」ということでした。
なぜなら、2パターンしか着られる服がなくても、生きていくことに支障がないからです。
とても単純なことですよね。
無理やり気に入らない衣服を身につけさせてパニックや癇癪を起こしたり、先生に怒られるよと脅して不安をあおり学童に行けなくなったりするより、
ちょっとしたこだわりを優先して安心して過ごしてもらう方が何倍もメリットがあると感じています。
許容できるこだわりは見守る、ということが鉄則です。周りの環境調整で、こだわりという一見マイナスポイントに見える部分は困りごとではなくなります。
次の章で、この”一見マイナスポイント”をさらに長所へと覆した息子のお話をさせてください。
ASDキッズのコミュニケーション力についてはこちらも参考にしてくださいね!▼▼
こだわり派ASDキッズの黄金ルール“ルーティーン力”
発達障害、ASDキッズのこだわりと言ってしまえば、なんだか短所のような響きですよね。
しかし私は学んでいく中で、「いつもと同じ行動、同じことを好む」という特性は「ルーティーンを作ってやればうまくいく!」という黄金ルールを発見してしまったのです。
ルーティーンを作ってやるとうまくいく
どういうことか説明していきますね。
ASDの傾向があるこだわりをもつ子どもたちは、幼稚園や保育園のような「今は何する時間?」といったふんわりした時間を過ごすことが苦手で、小学校のように時間割がきっちり決められている方が安心して過ごせるという場合が多いようです。
私の息子もまさにこのタイプで、やるべきことがきっちり決まっていると心穏やかに過ごせるようです。
ですから、まず息子の好ましい行動をしっかり定着させ、家に帰ったら○○をする、終わったら○○をする、ここまでできたらゲームして良し!(ご褒美♪)という流れをルーティーンにしてやりました。
こうすることで、毎日ご褒美に向かってサクサク行動するようになり、「宿題しなさい!」と言わずとも毎日当たり前のように机に向かい、ちょっと声をかければお風呂に誘導できる…という、イライラとは無縁の夕方を過ごすようになってきました。
子どもの行動を引き出すご褒美の使い方はこちら▼▼
磨けば光る!「継続は力なり」を実践できる人
こだわり派ASDキッズは、約束や決められたことを忠実に守るというとてもマジメな一面を持っている場合が多いです。
息子の例で言うと、上記のようにルーティーンが決まればそれを淡々と続けていきます。
音読や九九の暗唱の宿題など、いくらでもごまかせるのに…と思うことも絶対にちょろまかすことがありません。
この特性をしっかりと生かしてやることで、決められたことを最後までやり遂げる力や、周囲から信頼されるという人望、我慢強さや、もしかすると学力まで…磨けば光る力がこんなにもあるのです。
地味に見えることでさえ、コツコツと好ましい行動の習慣を積み重ね、「継続は力なり」を誰よりも実践できる。これがASDキッズがもつ最強のルーティーン力なのです。
彼らのこだわり体質を磨いてあげられるのは他でもない、お母さんです。親子のコミュニケーションで、ASDキッズのいいところをグングン伸ばしてあげましょう。
執筆者:大塚 ひかり
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