知能検査では子どもの苦手な力に注目しがちですが、お母さんが視点を変えることで子どもの成長を引き出せることを知りました。この記事では、WISCの結果を子どもの成長につなげるために私が取り組んだことと、子どもに起こった変化についてお伝えします。 |
WISCという知能検査のイメージ~過去の私はこんな風に思っていました~
突然ですが、皆さんはWISCという知能検査にどのような印象をお持ちですか?
・WISCは発達障害の診断に使われるもの
・数値が低い苦手な能力ばかりに注目してしまう
・結果をどのように生活の中で活かしたらよいかわからない
これらは全て、過去に私が知能検査に対して抱いていたネガティブな想いです。
正直なところ子どもに検査を受けさせることには消極的で、思い切って検査を受けさせた後は子どもの苦手を突き付けられた気持ちになり、不安を覚えました。
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WISCの大切な役割とは?私に足りなかった視点
WISCは知能検査の一つであり、言語理解・知覚推理・ワーキングメモリー・処理速度の4つの指標と全体的な知的能力を測ることができるものです。
WISCに対してネガティブなイメージが強かった当時の私にとって、知能検査は子どもの能力を数値化して苦手を明らかにするための道具という認識でした。
しかし、子どもの発達について学んでいく中で、私はある重要な視点が欠けていたことに気がつきました。
もちろんWISCでわが子の苦手を把握し、子どもの苦しさを理解しフォローしてあげることは必要です。
子どもが抱えている目に見えない苦しさは、たとえお母さんであっても理解が難しいこともありますよね。
苦手を数値化することで、子どもの困りごとの背景を知る手掛かりを得られることがあります。
しかし、WISCの役割として注目すべきはその子の得意な脳の使い方を発見できること。
WISCの結果は、「その子の生き方を支えて魅力をつくるためのヒント」が詰まった大切な資料だったのです。
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子どもの成長の鍵は「得意なチカラ」にあり!
脳に届かないコミュニケーションや情報を理解できていないとき、子どもの脳は働きません。
脳を発達させるためには、子どもが受け取りやすい方法で情報をキャッチして処理できる環境を整えることが大切です。
ですから、苦手よりも得意を活かす方向にシフトすれば脳が働く状態をたくさんつくってあげることができ、発達が促されていきます。
つまりWISCの結果に表れている苦手ではなく得意な力に注目すれば、子どもの発達を加速させることができるのです。
例えば視覚的な情報を処理するのが得意であれば、「言って聞かせる」という耳からの情報ではなく絵や図を使って伝えることで子どもは理解しやすくなります。
これは子どもを褒めるときも同じで、その子の得意がどのような力なのかによって、子どもの脳に届きやすい褒め方も変わってきます。
目で見て情報をキャッチすることが得意であれば視覚的に褒めを伝え、言語が得意でおしゃべり好きな子であれば、できたことを語らせてお母さんがそれを聞いてあげることで、成功体験を効果的に子どもの記憶に残すことが可能です。
このように、子どもが既に持っている得意な力を活かすことで子どもの成長をサポートしていくことができるのです。
子どもの苦手ばかりに注目していた私は、検査の結果から見えた得意な力を使っていくことを考えるようになりました。
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WISCの結果が教えてくれたこと。「得意」に注目したら、わが子にこんな変化が起きました!
WISC-Ⅳの結果から、息子は視覚的な情報を捉える力が強いことがわかりました。そこで、得意な力を活用するために次のようなことに取り組みました。
・グッジョブサインやOKサインなどのジェスチャーで褒めを伝える
・相手の表情を読み取る力が強いため、笑顔やアイコンタクトを意識してポジティブな感情を共有する
・登山やプラモデルなど、本人が意欲的にチャレンジしたことやがんばったことを写真で記録に残し、何度も目で見て振り返ることができるようにする
これらを続けていくと息子は少しずつ自信を高め、素直さが増して行動できることが増えていきました。息子の脳に届きやすい褒めを日ごろからたくさん使うことで成功体験の記憶が貯まり、行動力が高まったのだと感じています。
息子は、ゲーム「マインクラフト」で立体の建築物をつくることが大好きです。
得意である視覚的な情報を使って空間認識力・推理力・思考力をフル回転させるこのゲームは息子にピッタリで、毎日夢中になって取り組む理由がよくわかります。
「ゲームだから…と闇雲に制限しようとせずに、子どもの得意を伸ばすための道具として利用しよう」
そう私の意識を変えていきました。
難しい作品づくりにチャレンジして達成感を得たり、分からないことは調べて自分で解決しようと諦めずに取り組む息子の姿を見ると、「やればできる!」という自己効力感や自己学習力が高められているように思います。
嬉しい変化がもう一つ。
それは、得意に注目したら苦手な力も一緒に伸びてきたことです。
マインクラフトの作品づくりを通して家族と話題を共有し会話が増えた結果、言葉で伝える力が伸びていきました。
会話のキャッチボールが上手くなってきていることから、苦手だったワーキングメモリの機能が鍛えられているのではないかと推察しています。
苦手なことは、ドリルで一生懸命トレーニングさせようとしてもうまくいかないことが多いもの。
「得意な脳の使い方×好きなこと」をベースにすれば子どもが大きな負担を感じることなく苦手に取り組み、力を伸ばしていけることを実感しました。
このように、得意な脳の使い方がわかればどんなことで子どもが伸びていくのか、お家でできることは何なのか、お母さんが戦略を立てやすくなりますよね。
しっかりとした検査のプロセスを経て受けたWISCであれば、そこには子どもを伸ばすために役立つ大切な情報=得意な力が示されていることを「お母さんの小学校」で学ぶことができました。
検査の結果や、発達障害の診断の有無で目の前の子どもが変わることはありません。
大切なのは、わが子が既に持っている力に気づき伸ばしていくこと。
でこぼこの中の得意を土台にして、子どもの可能性は広がっていくのだと感じました。
過去に私が抱いていたイメージに反して、WISCは決してネガティブなものではありませんでした。
そして、社会にたくさん溢れている情報に振り回されていた私の不安を解決してくれたのは、専門家から学ぶ「正しい知識」でした。
もし過去の私のように知能検査にネガティブなイメージを持っているのであれば、WISCは決して診断名のレッテルを貼るためにあるのではなく、子どもたちの良い力を見つけ、生きる力に繋げるためのツールの一つだということを知ってほしいと思います。
執筆者:さくらい京子
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