褒める育児をしているつもりなのに、褒めても反応が悪くてなんだかうまくいかないな…と感じたことはありませんか?それは褒めている言葉が合っていないことに原因があるかもしれません。私が経験して見直したコミュニケーションのPart3をご紹介します。 |
褒めているのに怒る息子
Part1、2の記事でお話しましたが、私は褒める育児を意識して、息子が何かできたときは一生懸命褒めていました。
Part1、2はこちらから▼
しかし、困りごとに対しての知識と、子どもの発達の知識がなかったので、感情的に叱ったり、先回りの育児も同時にしてしまい、私がイメージしている褒める育児にはほど遠い状態でした。
そしてもう一つ私がやってしまっていたことがあります。
それは「褒める言葉がズレていた」ということでした。
例えばこんなことがありました。
息子と家の前でストライダーをやり、そろそろ家に入ろうとなったときです。
息子がストライダーを持って玄関前の階段をあがり、片づけ始めました。
その行動は数か月前からできていたことなのですが、私はずっと「ストライダー自分で片づけてえらいね!」と言っていました。
するとその日急に息子は「片づけてえらいね!って言わないで!」と怒ったのです。
そのときの私は、どうして褒めの言葉を拒否されたのかが分からなかったのですが、冷静に考えると、私が使った褒めの言葉は息子の状況や感情に合っていなかったのです。
なぜ怒るの?
状況や感情と言葉のズレ
自分の行動に置き換えると少し分かりやすくなるのですが、例えば普段料理をしない夫が、私が当たり前にやっているごはん作りに対し「料理してえらいね!」と言ったとします。
私の感情としては、
・え?だって私が作る役割なんでしょう?
・私がやらなくて誰がやるの?
・私がごはん作るの、当たり前になってるし!
と思います。
自分の行動に対し、言われた言葉がしっくりこない感じがお分かりいただけますでしょうか?
「えらいね」という言葉よりも「料理してくれてありがとう」や「助かるよ」という言葉だったら私も嬉しい感情になります。
息子もずっと私にお片づけしようと言われ続け、自分で片づけられるようになったのに、ずっと私が「お片づけして、えらいね」と言うのです。
息子の感情としては
・ママがずっと片づけようって言ってたんでしょう?
・ぼくは言われなくても片づけてるし!
・なんか変な気持ち…
そんな感情だったと思います。
このように自分は褒めていると思って使った言葉が、相手の状況や感情からズレていて不快にさせてしまうことがあるのです。
褒められることに慣れていない
また、発達がゆっくりなお子さんは、できないことが目立ってしまうことがあり「何でできないの?」という感情や、他の人の迷惑になってしまうのではないかと大人が心配し、注意や怒ることが増えてしまうことがあります。
できたことにも目を向けて、褒める声をかけをしていればまだよいのですが、できているときは特に声をかけず、できていないときだけ注意をしてしまうと、褒められる経験が少なくなってしまいますよね。
そのような状態のときにママが「すごいじゃん。えらいじゃん。」と褒めても、最初は褒められていることを素直に受け入れられないことがあります。
そう、お子さんの脳からしてみると、褒められることに慣れておらず、ママが伝えた言葉は「褒められた」としっかり理解できていないのです。
お子さんの反応が無反応だったり、やめて!という場合、そのような理由がかくされている場合もあります。
このようなミスコミュニケーションは、繰り返し行われると「ママはどうせよく見てくれていないし」「やっても分かってくれないし」「なんか言われても嬉しくないし」と、親子の信頼関係に問題が出てきてしまうこともあります。
幼児期の子どもは、一緒に長くいるママとのコミュニケーションから、社会に対するコミュニケーションを学んでいきますので、ママが少し意味合いの違う言葉がけを続けていると、子どももそれでいいのかもしれないと理解してしまうことがあります。
ですから、子どもの脳の発達という観点でも、今起きている行動に対し分かりやすい言葉で伝えることはとても大切なのです。
褒める言葉のバリエーションを持とう!
褒める言葉は色々ありますが、私のように褒めにズレが生じないとっておきの言葉があります。
また、褒められることに慣れていないお子さんにもとってもおすすめです。
それは「実況中継」と「感謝の言葉」です。
実況中継
実況中継はまさにお子さんのしている行動を、そのまま伝えるということです。
「〇〇で遊んでいるんだ!」「楽しそう!」「わぁ!積み木こんなに積み上げたんだ!」
「色、たくさん使ったんだ!」「本、ここまで読んだんだ!」
などを笑顔で伝えます。
「すごい、えらい」などのママの考えを入れずに、子どもの行動をそのまま伝えるのです。
行動をそのまま褒めるというのは、自分の行動が相手に肯定された、認められたと感じます。
すると、自分のとった行動に自信をもつことができ、何か問題が発生しても立ち向かうことができるようになります。
「すごい、えらい」などを使ってはいけないということではないのですが「すごい!」という言葉だけしか伝えていないと、結果だけ褒めていることになり、その過程の行動していたことへの注目がされていません。
結果だけ褒められ続けていると、褒められることを待ったり、褒められないかもしれないからと、失敗すること避けてチャレンジしなくなったりすることがあります。
「えらい!」は自分より目上の人や上司に使わないのと同じで、相手を下に感じさせる言葉ととらえられたり、私が息子に言ってしまっていたようにそのときの状況と合っていないと、不快にさせてしまうことがあります。
ですから、子どもの自己効力感を高めたり、ミスコミュニケーションを起こさないためにも、目の前の行動をそのまま実況中継する褒め言葉はとてもおすすめです。
感謝の言葉
感謝の言葉は「ありがとう!」「ママ助かったよー!」「嬉しいよー!」などです。
感謝の言葉はママの気持ちを伝える言葉ですので、お子さんとの感情のズレは生じにくいです。
また感謝の言葉を言われた子どもは「自分は誰かの役に立ったんだ!」という経験をします。
それはママから離れた園や学校というコミュニティに必要な、社会性を身に着けていくことにつながります。
我が家の息子も感謝の言葉を言われると、すごく嬉しそうな顔をして「どういたしまして!」と言います。
そして誰かの役に立ちたいという気持ちが成長し、私のお手伝いをたくさんしてくれるようになりました。
息子の幼稚園の長期休み中の家事も息子と一緒に進められるようになりましたし、夕飯の支度も今まで息子がいないうちに急いでやっていたのが、今は一緒に野菜を切ったり、炒めたりして二人で料理を楽しめるようになりました。
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3回のシリーズでご紹介した方法はいかがでしたでしょうか?
このように振り返ると、私は本当に育児が苦手なんだな…と思いますが、私のたくさんの失敗が、たくさんの「どうしてだろう?」を生み「全然分からない…。どうしよう…。もう、教えてもらおう…」となりました。
そして、学んだことを試してみることを繰り返すと、息子も私もどんどん変わっていき、今、やっと褒める育児がうまくいっている!と感じられるようになりました。
世の中にはたくさんの育児情報がありますが、ママと子どもは人それぞれです。
ママのタイプと子どものタイプの組み合わせも、同じものはないですよね。
ですから、より自分にあった方法、我が子にあった方法を見つけられないと、すごく育児が大変だと感じてしまうでしょう。
1年前の私がそうだったように「どうしてうまくいかないの?」「どうして私はこんなにイライラするの?」「どうして誰もわかってくれないの?」と育児に対して不安を感じていたら、ぜひ、ななほし広場でお悩みを探してみてください。
ご自身のこと、お子さんのことを理解できれば困りごとは必ず減りますので、ぜひ一緒に子育てをしていきましょう!
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執筆者:宮代さちこ
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