発達障害・グレーゾーンの子どもへの支援は充実してきています。では、一番サポートされるべきお母さんの支援はどうでしょうか?私が『幼児期』の『お母さん』を救いたいという強い思いを持っている理由は、私の過去の経験にあります。 |
『幼児期』にこだわる理由
私は、このWebサイト『ななほし広場』を、発達障害・グレーゾーンの『幼児期』の子どもを育てる『お母さん』に届けたい!と熱い気持ちを持っています。
その理由を紐解いていくと、私の過去の経験が大きく関係しているので、この記事では私の軌跡をお話ししますね。
学校現場でも「発達障害」への誤解が多かった時代
私は平成19年から心理士として特別支援教育に携わってきました。
そう、ちょうど「特殊教育」という「障害のある子のための教育」から「特別支援教育」という一人一人のニーズに合わせて教育をしましょう、という風に、国が大きく動いた年です。
その頃私は、教育委員会の「特別支援教育係」という部署で2人しかいない心理士の1人として働いていました。
教育委員会だったので、主なフィールドは小学校と中学校。
毎日、依頼のあった学校へ飛び回っては、主に、学校の先生方の相談に乗っていました。
そのころは、まだまだ「発達障害」という言葉も現場に浸透していませんでしたし、本当に誤解も多かった。
先生方ですら、平気で「障害とか言って。結局は本人の根性の問題ですよ」なーんてことを言っていた時代です。
「この子の支援、どうしたらいいですか?」
「この子の親に、なんて話したらいいですか?」
そんな先生の相談に毎日乗っていましたが、とても大きな違和感を持ちました。
発達障害の子どもたちの本当の姿は、とっても素敵なのに、なぜ?その答えを探し続けた心理士時代
私は、子どもの様子を観察するだけじゃなくて、学校にWISCという知能検査を持参して直接子どもと一対一で検査も実施していたのですが、毎回感じるのは、「先生がいうほど、とんでもない悪ガキじゃないぞ…」ということ。
みんな一対一のときはとても素直で、くったく笑う、心の綺麗な子どもたちだからです。
だけれども、いざ、教室での様子を拝見すると、どうしてそうなっちゃうの?というほど、豹変している姿を目の当たりにすることが多かったのです。
なぜなんだろう?
この子の本質は、こんなに素敵で、素直で、優しい心の持ち主なのに。
何が子どもをこうさせてしまうのだろう?
私には、教室で荒れている子どもたちが必死でSOSを出しているようにしか見えませんでした。
いつもいつも考えていました。どうしたらこの子の本当の素晴らしさが学校でも発揮できるんだろう?と。
私の心理士人生は、この答えを探し続けるところからスタートしたようなものですね。
『幼児期』にきちんと対応すれば、発達障害グレーゾーンは卒業できる!と確信したカウンセラー時代
その後、もっと直接子どもに関わってあげたら、その子の力がちゃんと伸びるんじゃないか!?と考え、療育の仕事をしました。
たくさんの子どもたち、そしてお母さんと関わる中で、どうやらヒントは、「お母さんのサポート」にあるのかもしれない。。と気づきました。
そして、もっともっと、小さい頃からサポートがあったら、「荒れる」という表現で心のSOSを出すまでに子どもを追い詰めなくても済むのではないかと思い、幼稚園のカウンセラーの仕事をすることにしました。
そこで得心しました。
幼児期に介入すれば、発達のグレーゾーンは卒業できるぞ!と。
その鍵を握るのは、先生でも、専門家でもなく、お母さんなんだ!と。
『お母さん』のサポートにこだわる理由
療育の仕事をしていたときに感じたことがありました。
それは、誰よりも悩み苦しみ、我が子を思っているのにお母さんが置き去りにされてしまっているということです。
子どもへの発達支援は充実してきている
今では発達支援センターなどが各地域に充実していて、はっきりとした診断のない子も、幼稚園が終わったあとに通えるタイプの療育が増えてきました。
それに、民間の療育教室もたくさんできてきました。
予約待ちで通えないとか、費用が高額であるとか、いろんな問題はあるにせよ、子どもの支援は充実してきています。
ですが、お母さんへのサポートはどうでしょうか?
子どもの発達を支えている『お母さん』へのサポートや支援は少ない
どこの相談も「子どもの」ことは相談できるけど、家で「お母さんが」困っていることの相談に親身に時間をさくところは少ないはずです。
療育教室は特にそう。
お母さんと話すことといえば、今日の療育の内容と、こんなことができていましたよ、という簡単な報告くらいです。
私はそれが嫌だったので、自分の持ち時間の90分を、60分は子どもの指導、30分はお母さんと話す時間、と自分で変えてしまいました。(個人経営の療育教室だったのでスタッフの裁量が効いたのです)
もちろん、今日の指導の報告はしますが、私が大事にしたのは、お母さんのお話を聞くことでした。
初めは、幼稚園の様子くらいしか話してくれないお母さん。
おうちの中での困りごとを中心に聞く私に対して「私の相談をしてもいいんですか?」と驚かれる方がとても多かったです。
ある自閉症の女の子のお母さんは「Aを今まで育ててきて10年、こんなに私の相談に耳を傾けてくださる方はいませんでした…」と涙を流されました。
小学校4年生だったAちゃんは知的障害を伴う自閉症の女の子。やっと2語文で会話できるくらいの発達でした。
小さい頃から診断を受け、障害者手帳も取得して、公的な支援は全て受けてきた方です。なのに、お母さんの相談は誰も耳を傾けてこなかったわけです。
お母さんの涙には10年分の孤独感が詰まっている気がして、私も一緒に泣いたのを昨日のことみたいに覚えています。
発達障害・グレーゾーンの幼児期の子どもを育てるお母さんのSOSを、放っておいてはいけない!
療育でやっていることをそのまま伝えても、それをお家でお母さんがやるのは至難の技です。
それに、時計を読んだり、フラッシュカードをしたり、積み木の形合わせを教えたりすることよりも、
おうちの中でしかできない、その子の発達を支える関わりはたくさんあるのです。
その方法を教えたかった。
だけど、当時の私には知識もなかったし、お母さんが子どもに具体的にどんなふうにしてあげると家で子どもが伸びるのか、わかりませんでした。
相談に耳を傾け、一緒に考えることはできても「こうしたらいいよ!」という明快なアドバイスができないもどかしさをずっと抱えながら仕事をしていました。
頑張っているお母さんをサポートする方法、今なら伝えられます
今なら、あんなことも言ってあげられたのに。こんなことも教えてあげられたのに。。。。とても悔しい思いがあります。
家の中でのお母さんをサポートすることは、子どもの療育より大事です。
だけど、日本の文化って「お母さんが子どものために頑張るのは当たり前」という風潮があるように思います。
もう、すでに頑張ってるってば!
もう、これ以上何を頑張ったらいいの!?
そんなお母さんたちの心のSOSを、絶対に放っておいてはいけないと私は考えています。
あなたのことも放っておくつもりはないです^^
私が役に立てることがあったらいつでも話してくださいね!
執筆者:石澤かずこ
(お母さんの小学校★ななほし代表)
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