初めての集団生活の中で年少さんの「列に並べない、列に並んでも止まったりぶつかってしまう」そんな気になる様子はありませんか?それは体の使い方の不器用さが原因かもしれません!指摘せずに改善できる3つの方法をお伝えします。 |
入園後に「列に並べない」年少の我が子を発見!
幼稚園・保育園に入園し、いよいよ初めての本格的な集団行動が始まりますね!
保育参観でかわいい年少のお子さんの様子を見る機会もあるかもしれません。
そのとき、列に並べずに外れてしまったり、並んではいるけれど一緒のペースで進めなかったり、前後のお友達とぶつかったりする、そんな様子を目にしたお母さんはいらっしゃいませんか?
我が家の息子は入園後から集団生活の苦手さが見られるようになりました。
「列にうまく並べない」という様子は、私が遠くから見ていてもはっきりと分かるくらい、よく前後のお友達とぶつかったり、友達が動いていることに気づかず遅れを取ったりしていました。
そんな様子を見て、私は帰宅後の息子に「お友達が動いているのをちゃんと見て進まないといけないよ」「ぶつかるとお友達も嫌な気持ちになるよ」などと話していました。
しかし、そのように指摘をしていても、すぐに解消していくことはありませんでした。
列に並べないことには、興味のあるものが別にありそこへ行きたいので列から出てしまう、という衝動性からくるものもあります。
けれど、どうもそんな感じではないな…年少がスタートしてしばらく経つのにあまり変わらないなというお子さん、ひょっとしたら体の使い方が不器用なことが原因かもしれません。
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列に並べない理由は、体の使い方が不器用という特性かも?
個々の身体機能に問題がないにもかかわらず、複数の動きをうまく協調させて行うことが難しい状態を、「体の使い方が不器用である」と言うことがあります。
体の使い方が不器用とはどういうこと?というと
例えば、手先の不器用さでいうと
・ボタンの開け閉めができない
・お箸が上手く使えない
・塗り絵で線に沿ってきれいに塗れない
・食べこぼしが激しい
体全体の不器用さでいうと
・階段の昇り降りがなんとなくぎこちない
・三輪車に乗るのが上手くない
・公園の遊具でうまく遊べない
などが挙げられます。
その中で、三輪車に乗ることを取り上げると、
座った状態で行きたい方向にハンドルをきる
そのためには進行方向を目で見る
同時に足でペダルを踏む
と、色んな動きを合わせて(協調して)運動に結びつけなくてはなりません。
これが不器用な子どもには難しいのです。
なお、生活に困難さを覚えるくらい著しく不器用で、脳が運動をコーディネートできていない状態という、
発達障害の一つである発達性協調運動障害(DCD =Developmental Coordination Disorder)というものがあります。
そして、DCDは注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム(ASD)、学習障害(LD)と高い確率で併発すると言われ、
DCD傾向は大人になっても高い頻度で残存すると言われるくらい身近な障害と言われています。
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ボディイメージとは?
次に体の使い方が不器用な状態と深く関係する「ボディイメージ」についてお伝えします。
ボディイメージとは、自分の腕、脚、背中がどこまで伸びているのか、頭はどのあたりで上に届くのか、自分の体がどんな動きをするのか、といった自分の体の主観的なイメージのことです。
これは誰に言われるでもなく、感覚的にわかるものと思いますよね。
ところが、体の使い方が不器用な幼児に見られるのが、このボディイメージが弱いということです。
列に並びながら進むというのは、前の人が進んだことを目で見て、後ろの人が近づくのを感覚的に感じながら、一定の距離を取りつつ進む、ということを自然と行っています。
けれど不器用な幼児は、このボディイメージが弱く、後ろの人が近づいていることに気づかなかったり、前に詰めすぎたりしてぶつかってしまうことがあります。
こうして列に並ぶとぶつかって文句を言われたり、何となく動きづらさを感じてしまい、列からはみ出てしまうということに繋がっていることが考えられます。
不器用さを指摘せずに改善できる3つの方法
では、そんな不器用な幼児にはどのように対応したらよいかをお伝えしますね。
できないことを何度も言い聞かせない
「しっかり前を見て進むんだよ」
「前の人とぶつからないようにね」
と注意したところで、うまくできるようになるでしょうか?
例えば、文字が書けない子に「文字を書きなさい」とひたすら言ったところで、「嫌~!」となってしまいますよね。
できないことをやりましょうと言われ続け、頭ではわかっているのに体が思うように動かない自分に歯がゆさを感じて、自信をなくしてしまうことになりかねません。
大事なのは、まずできないことをできるようにするための練習・注意をしない!ということです。
やりたくないこと、苦手なことを反復練習することで、苦手意識が強まってしまい、さらにやる気をなくすことに繋がってしまいます。
できていることに注目する
できないところを注意するのではなく、大人がやんわりサポートしてできたことに注目しましょう。
できなかった失敗体験を積むことなく、なんとなくでもできた!という経験を積み重ねることで自信の回復に繋がっていきます。
「列に並ぶ」ことで言うと、
園であれば、
列の先頭に並んでもらい大人が手を引いて進むことで、列からはみ出すことはなくなりますし、
「前の人進んでるよ、進もうか」という声かけをさりげなくしてあげる、などです。
日常生活であれば、
遊具に並んでいるとき隣でさりげなく手を引いて「上手に待てたね」「うまく並べてるね!」など、
できていることを言葉にしてお子さんに声をかけていきましょう。
おすすめは「くぐる」!焦らずゆっくりボディイメージを育みましょう
ボディイメージを育むためには、どんな訓練よりもまず自分の体を動かして様々な環境に挑戦することです。
散歩中に、歩道と車道をわけるブロックの上を歩いてもらうのも楽しいですし、公園で自由に遊ぶ中で大人がさりげなく手助けをしてあげながら遊具を使ってみてもいいですね。
中でもおすすめは、「くぐる」経験を沢山する、ことです。
ジャングジムは非常に有効で、ここに足を置いたら次はここで…これならくぐれるかな、など、体の動きをジャングルジムに合わせようとする、この過程でボディイメージが育まれます。
家の中であれば、机の下にあるものを潜り込んで取ってみたり、廊下に紙テープを張り巡らせて忍者ごっこをしながらテープの下をくぐるなど、楽しみながら自然と全身を使えることをするのがおすすめです。
我が家では、休日は体を動かそうと広い公園に出たり、こまめにできていることに注目し声をかけていきました。
そう意識して過ごしていく中で、今では遊園地の長い行列にもうまく並ぶことができるようになりましたし、園では列からはみ出すことなく皆と同じペースで移動ができる様子が見られるようになりました。
何より息子が毎日を自信を持って過ごしていることをひしひしと感じます。
焦らずにゆっくりとお子さんの成長を見ながら、楽しく体を使えるように動いていくことで、不器用さが和らいでいくことと、何よりお子さんの自信を損なわずに家族が楽しく過ごせることが大切ですね。
執筆者:菅 美結
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