YouTube視聴やゲームをなかなかやめられない子どもたち…うまく切り替えができなくて困ってしまいますね。これは、意外にも脳の記憶系のエリアの未熟さに原因があるかもしれません。ママのサポートとポジティブな声かけで切り替える力を養いませんか? |
YouTubeがやめられない子どもたち
子どもたちの心をわしづかみにするYouTubeやテレビゲーム。最近では、定額制の動画視聴サービスなども続々と登場していますね。
私の息子も、長期休みや休校などをきっかけにこれらの魅力にどっぷりはまっている一人です。
つい、熱中してしまって気持ちが切り替えられない…ということも多々あります。
自分の意思はおろか、周囲から「そろそろやめようか」と声をかけてもなかなか動けない状態は少し困りますよね。
脳の記憶系のエリアと関係がある?
YouTubeにはまってしまう理由
私の息子が、これらにはまって動けない状態になりがちな理由の1つは、脳のエリアのうち記憶系のエリアの未熟さにあります。
このエリアの基本的な働きは「覚えること」と「思い出すこと」。つまり、情報を正しく入れて、必要なときに取り出す力に関係しています。
このエリアの発達がのんびりだと、さまざまな学習(お勉強のことだけではありません!)が進みづらかったり、逆に一度記憶したことを変更できないということも起こるそうです。
また、過去や現在の記憶だけでなく、未来の記憶(見通しや時間の感覚)にも関わるエリアだと言われています。
たとえばYouTubeに熱中する息子の例で言うと、
・毎日のルーティーンとして動画を見なくちゃ!というこだわりがある
・「そろそろやめないと寝る時間が遅くなる」と考えることができない
…といったことが、記憶系のエリアの未熟さから起こっている可能性があると考えられます。
体と同じように脳も成長途中
ここで、特に耳から入ってきた情報の記憶が苦手な息子が、習い事の体験へ行ったときのエピソードを紹介します。
はじめましてのご挨拶のとき、先生から「どこ小学校かと、何年生かと、お名前を教えてください」と声をかけられた息子。
ちょっと困惑した彼の答えは、「…おおつか○○(名前)です」でした。ただ、それだけ。
答えになってないじゃないか!と思うかもしれませんが、彼にはこれが精一杯。「お名前を教えてください」という情報しか処理できなかったのですね。
うまく挨拶ができない息子の頭の中はどうなっているのか?▼▼
一般に、子どもは成人に比べて記憶できる量が少ないです。これはもちろん、体と同じように脳も成長途中だからですよね。
大人へ伝えた場合に処理ができて当然なことも、子どもにとってはできて当たり前ではありません。
今を生きることに必死で、過去の経験から必要な情報を取り出すこと―つまり見通しを立てることができなくても不思議ではないと思うのです。
「短期記憶」と関係の深いワーキングメモリーについてはこちらで詳しく▼▼
度重なる叱責で好ましい行動は定着しない
脳を発達させるためには、まず正確な処理をゆっくり行えるという段階をふむことが必要です。
こうすることで、脳の中に少しずつ正確な処理のネットワークがつくられていきます。
このネットワークがしっかりできていない段階で「いい加減にしなさい!」「いつまでやっているの!?」と叱責してその場を収めても、処理がうまくできないためなかなか好ましい行動は定着しません。
いつも叱られてばかりだと、自分で考えることの苦手な指示待ちタイプに育ってしまうかもしれません。
結局いつまで経っても好ましい行動が見られない…という可能性もあります。ご注意くださいね。
スモールステップで切り替える力を養おう
見通しを持たせるサポートを
記憶系のエリアに弱さのある子どもは、唐突な「さぁ、お風呂に入ってきてね!」という声かけではなかなか動けません。
なぜなら、毎日のルーティーンを頭の中でイメージできているお母さんとは異なり、彼らにとっていきなり始まるお風呂イベントは青天の霹靂のようなものだからです。
仮に例えるなら、ママが仕事中に子どものお熱で保育園から緊急のお呼び出しがかかるような状況…
「お母さん、すぐ来てください!」と言われ「えー!今は無理~!!」と思う気持ちと似ているのではないかと思うのです。
今日はお昼でお迎えに行かないといけないという見通しが立っているから心の準備ができるわけで、大人でも突然の出来事だとパッと対応できないことってありますよね。
見通しを持つことが苦手な子どもには、ぜひその指示が突然の出来事にならないようなサポートをしてあげたいですね。
わが家では「ごはんの後、お風呂に入れるように用意をするね」と、次にやるべきことをそれとなく事前予告するようにしています。
簡単ですので、ぜひ試してみてくださいね。
自分で決めると動きやすい!
そして、「…で、何時にお風呂に入る?」と聞きます。
ポイントは今熱中しているYouTubeをやめることではなく、次の行動である「お風呂に入る」ことを強調することです。
こうすることでお風呂に入ることを意識したポジティブな指示出しになりますし、自分で決めると行動しやすいという利点があります。
もしこの声かけが功を奏して、自分で決めた時間を守ることができたらベスト!たくさん褒めて成功体験にしてあげましょう。
多少時間を過ぎたとしても、自分の意思でYouTubeを切り上げることができればそこに焦点をあてて褒めます。
熱中してなかなか切り上げられない様子だった場合は、「えーと、今何時かな…」と子どもがハッと気づく程度の大きさの声で独り言をつぶやくという秘技を使ってください。(笑)
もちろん、その独り言で動けたらOK!「約束通り自分で終わりにできたね!」としっかり褒めてあげましょうね。
切り上げるタイミングを時間で区切るのではなく、「ここまで見たら」「このステージをクリアしたら」といった進捗具合で区切る方法もいいですね。
子育ては成功体験の記憶づくりと言っても過言ではありません。スモールステップでよいのです。
「自分で時計を気にする様子があった」
「自分の意思で切り替えられた」
「時間を守ることができた」
…これらの瞬間を見逃さず、好ましい行動に注目してたっぷり褒めてあげましょう。
じっくりと少しずつ脳内のネットワークを繋ぎ、切り替える力を養ってあげてくださいね。
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執筆者:大塚 ひかり
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