「特別支援教育」は、開始当時とても画期的な取り組みでした。けれど、私は自身の体験から、ある違和感を持つようになったのです。発達障害・グレーゾーンの子どもたちのためにできること。お母さんが子どもの未来について真剣に考えてみませんか。 |
「特別支援教育」とは
平成18年、学校教育法が改正され、「特別支援教育」の対象として学習障害(LD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)が追加されました。
それまでは「〇〇障害」とはっきりと診断のつく子どもたちしか理解も認知もされず、当然サポートも受けられませんでした。
けれど、通常の学級の中にもでこぼこがある子がいて、サポートを必要としている!そんな大きな気づきと教育の転換がなされた、画期的な取り組みでした。
では、「特別支援教育」が行われていれば、発達障害・グレーゾーンの子どもたちの将来は安泰!なのでしょうか?
この記事では、特別支援教育の現場で働いてきた経験と、発達でこぼこのある我が子を育ててきた母としての経験をもとに、発達障害・グレーゾーンの子どもたちの未来のために本当に必要なこととは何かを考えてみます。
◆臨床心理士として、そして母としての経験から、持ち始めた違和感
私が10年以上前、臨床心理士として最初に仕事についたときの役職名は「特別支援教育巡回相談員」でした。
現場では、何千人の子どもたちの様子を見てきたり、何百人のお母さんの相談に乗ってきました。
そして、自分自身も発達にでこぼこのある子どもたちの子育てをするようになりました。
そんな中で、「特別に支援してもらう教育」って、ちょっとしっくりこないよなという思いが大きくなったのです。
◆「普通」に当てはめるための「特別に」サポートする教育より大切にしたいこと
教育の世界には「普通」の枠があって、そこからはみ出していく子どもたちを「特別に」サポートする。
そして「普通」の枠の中に戻したり、枠の中でなんとかやっていけるようにしてあげる。
そして「普通」の枠の中に戻したり、枠の中でなんとかやっていけるようにしてあげる。
その方向性がにじみ出ている「特別支援教育」という言葉が、私はどうしても好きになれないんです。
私が発達障害のでこぼこに対してグレーゾーンという言葉を使わず「パステル」を好んで使うように、 彼らのでこぼこって、色とりどりの「個性」であり「才能」の原石なんです。
だから、「普通の枠」にはめ込むように育てるのではなく、それぞれの子どもたちにぴったりとした環境の中で育ってほしい。そんな風に考えています。
発達障害の子どもたちの未来に目を向けてみましょう
発達障害・グレーゾーンの子どもたちの中には、支援を受けている子もいれば、通常学級に通っている子もいます。
いずれにせよ、「学校でわが子が伸び伸びと得意を伸ばして成長している」と、そんな風に感じられたら安心ですよね。
けれど、子どもが集団になじめず意欲を失っている、なんだか学校で無理をしているみたい。けれど他に選択肢もないし…
そんな風に感じているとしたら、そしてそのまま放っておいたとしたら、どんな未来が待っているか考えてみてほしいのです。
◆「我が子に間に合わなければ意味がないんです」
以前、我が家は家族で八ヶ岳に出かけました。
夫が参加したい!と言ったセミナーが、八ヶ岳の素敵な森の中のおうちで開催されるとのことで、子どもたちも私もついていき、私は会には参加せず、テラスで子どもたちが遊ぶ姿をみながらお仕事して過ごしました。
夫が参加したのは、「学校を作る会」。
今の学校教育に何らかの疑問や不満や不安を持った大人たちが集まって、子どもたちの未来のために本当に必要な学校を作ってやろうじゃないの! という熱い趣旨の話を、長野の空気のようにの〜んびりした雰囲気で語り合う会です。
語り合うだけではなく、そこから企画が生まれ、本当に学校を作ってしまおう!とみなさん本気で考えておられました。
参加者の共通の目的意識は 我が子を入れたい学校を作りたい!!というもの。
みんな自分の子どもたちのために真剣に話し合っていたのです。
お一人、大学の教授もおられ、こうおっしゃいました。
「まあね、みなさんが理想に掲げているような学校、あと100年したらできるんだろうけどね。」
半分冗談、半分事実。
そんな教授の発言に、みなさん笑いながらも真剣に我が子に間に合わなければ意味がないんです!!とおっしゃっていました。
私も、ものすごく同感です。
100年後に素晴らしい時代がきたとしても、それは私たちの子どもたちには何も生かされないのです。
◆今の教育を続けていくことが、彼らのためになるのでしょうか?
幼いうちは子どもたちを私たち親が守り育てることができるけれど、やがて独り立ちをして、一人で社会の中で食べていかないといけないときがやってきます。
社会がこれだけ激動しているのに、行政や社会の制度、学校教育の変わるスピードは亀の歩み。
そんな時代遅れの教育の中で育った子どもたちが、10年後、20年後、 社会の変化に対応しながら生きていけるなんて到底思えません。
既存の「仕事」の概念がクルクルと入れ替わる今の時代、本当は、発達でこぼこの子どもたちが生き生きと力を発揮することのできる時代がやってくると言うのに、
授業中は立ち歩いてはいけません
列にはピシッと並びましょう
先生のお話は黙って聞きましょう
遊びの時間が終わったら遊ぶのをやめてちゃんと片付けしましょう
列にはピシッと並びましょう
先生のお話は黙って聞きましょう
遊びの時間が終わったら遊ぶのをやめてちゃんと片付けしましょう
そんな「枠」にはめ込まれ、色とりどりの個性は潰されていってしまうのです。
あなたは我が子が大人になって、大きな会社に入り、様々な人との人間関係にもまれ、たくさんの仕事をスピーディにこなしている…そんな姿が想像できますか?
そして、そんな人生を歩ませたいですか?
社会はそんなに甘くない。 そんな風にお思いではないでしょうか?
小さい頃になんの手助けもなく、苦手なところばかりで勝負させられたパステルの子どもたち。
その多くが大人になってから不適応を起こし、たどり着いた先の病院で「大人の発達障害」と診断を受ける。そんなケースはとても多いです。
あなたはそこまで我が子を追い詰めたいでしょうか?
パステルの個性を輝かせるために、いま、お母さんができること
幼いときに「これがルールだから」と個性を潰され、「できない子」とされやすいパステル(グレー)の子どもたちは、 本当は新しい時代を創っていく子どもたちなのです。
私は、絶対に我が子を潰させるようなことはしたくない!と思っています。
だからこうして、発達と親子のコミュニケーションに関わる新しい仕事に飛び込んで、まずは自分自身が我が子のために知識やスキルを身につけています。
発達でこぼこの子どもたちの未来を切り開くのに、最も重要な鍵を握るのはお母さんの生き方なのです。
未来の子どもたちのため!なんてカッコつけたことを言う必要はありません。
一人一人のお父さんお母さんが、真剣に、我が子のことだけを考えて真剣に話し合ったり、真剣に今のあり方を変えていくことが大切なのではないでしょうか?
学校を作る!という大きな目標に向かって動く人たちがいたっていい。
私は、家庭を発達支援の場に!お母さんが我が子の専門家に! そんな新しい社会の常識を作っていきたい。
「お母さんが我が子の専門家になる」とは?こちらの記事で詳しく解説しています
気になる子の相談は数ヶ月待ち!?それなら、お母さんが「我が子の専門家」になりましょう!〜発達の専門家にはない「2つのチカラ」とは
やっていることは違うけれど、根っこにある思いは、 我が子が幸せに生きて欲しい!ということ。
世の中の全てのお母さんが自分の子どものことをしっかり理解して、自分の子どもにぴったりの生き方を応援することができるようになったら、社会って変わっていくと思うのです。
ぜひ、あなた自身がお子さんにどんな未来を創ってあげたいのか、考えてみてくださいね。
そしてもし、家庭を発達支援の場にして社会を変えていきたい、というあなたは、ぜひ私に力を貸してくださいね。
執筆者:石澤かずこ
(お母さんの小学校★ななほし代表)
(お母さんの小学校★ななほし代表)
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