小学校1年生になった子どもが、毎日イライラしながら宿題に取り組んでいて心配…。これがなかなか治まらないのは、ママがNGフレーズを使っているからかもしれません。おうちでカウンセリングするスキルを使って、彼らのイライラを減らしていきませんか? |
1年生でぶつかった宿題の壁
小学校に入学してしばらくすると、それまであまり目立つことのなかったイライラした姿を見せるようになった息子。
それがどういうときに起こるかと言うと、小学生の証とも言える宿題の時間なんです。
「イライラする~!」と言いながら、一応机に向かってはいるものの、興奮していて冷静に考えることができず全然進まない。
なんだか見ている方もイライラしちゃう…グズグズしていないで、集中してやっちゃえばいいのにな、と思っていたものです。
イライラ宿題タイムを放っておいてはいけない
イライラの正体は…?
息子のイライラの正体は、「やらなければならない、でもやりたくない、でも…」という葛藤でした。
今までとは違う、1年生になって始まった新しいルーティーン。きっと戸惑いもあったことでしょう。
「できなければ無理にしなくていい」と伝えていましたが、息子にそんな選択肢はありませんでした。
息子の記憶の中にあるのは、宿題をせずに学校へ行き、先生から注意されているお友達の姿。やっていかなければ自分も同じように怒られるかもしれない。
不安が強く、少し自閉症スペクトラム(ASD)の特性を持つ息子は、宿題は何がなんでもやっていくべきもの、という風にしか思えなかったようでした。
だけれども、少し注意欠陥多動性障害(ADHD)の不注意の特性も併せ持つ息子にとって、小学校の宿題は簡単なものではなかったのでしょう。
課題自体のレベルも、じっと座って緊張を保ったまま考えないといけないということも、息子にとってはそこそこ高いハードル。
やりたくない、という気持ちが芽生えても仕方がない状態だったのです。
解消できなかったわが家はこうなった
…と、このように、私が息子の行動を分析するようになったのは、実はわりと最近のことです。
少し前の私は、ここまで息子の状態を理解してやることができていませんでした。
そのため、彼の心の葛藤をうまくフォローしてやることができず、宿題のときはとにかくイライラする!ということがお決まりの流れになってしまいました。
そして、うまく解決させることができないままこじらせること数ヶ月。
この状態を繰り返した息子はどんな風に変わっていったと思いますか?
残念なことに、宿題とは別の状況でも「イライラする~!」と言って感情をあらわにすることが増えてきてしまったのです。
ゲーム問題だったり、お友達トラブルだったり…。今までそんなことはほとんどなかったのに…です。
イライラする~!の状態をそのままにしておくことの心配なところはここです。
イライラからの大爆発!はクセになってしまうんですね。今すぐにでも、子どものイライラを減らしていくスキルを身につけてほしいと思います。
子どもの脳は3ヶ月で変わる!感情の脳を育てる方法はこちらを参考にしてくださいね▼▼
注目すべきは“宿題をやるかやらないか?”ではない
NGフレーズを使っていませんか?
それでは、なぜ私は息子の心を変えてやることができなかったのでしょうか?
それは、
「宿題をやるのか?やらないのか?」
「どちらでもいいから早く落ち着いてほしい」
と、目の前にある表面上の問題だけに注目してしまっていたことが原因でした。
早く問題を解決したい一心で私が発していたNGフレーズはこちらです。
「どうして?やりたくないならやらなくていいじゃん」
「やるならさっさとやっちゃおう!時間がもったいないよ」
そんな言葉をかけていたんです。イライラしてSOSを発信している子どもに対し、この声かけはいけません。
なぜかと言うと、このような声かけをしても、活発に働いている子どもの脳の感情系エリアを落ち着かせることができないからです。
「自分のこと、分かってくれてない!」と、よりヒートアップしてしまう可能性だってあります。
脳の感情系エリアと思考系エリア
と言うのも、脳の感情系エリアが活発に働いているとき、そこで生まれた感情をコントロールし冷静に考える理性の脳(思考系エリア)はうまく働くことができません。
したがって、イライラした感情が沸き起こっているとき、落ち着いてお母さんの話に耳を傾ける、落ち着いて問題をもう一度考え直してみる、など宿題に取り組むための行動に切り替えることは難しいでしょう。
ですから、まず最初にやるべきことは、感情系エリアを落ち着かせることです。
そのために、表面上の問題だけにとらわれることなく、まずは子どもを観察してみましょう。
焦って手を打ち、正しそうに見えるルートに無理やり引っ張っていくのではなく、
子どもが何を感じているのか?
何を分かってほしいと思っているのか?
ここに注目すると、脳の感情系エリアを落ち着かせ、次のステップである理性の脳(思考系エリア)を働かせるヒントが見えてきます。
子どもの心の奥まで届く!おうちでカウンセリング
ここからは、わが家の例を少し詳しくお話ししていきますね。
ステップ1◆まず観察、そして推理する
息子のイライラ宿題タイムが始まったな~と思ったら、まず観察です。
いつも宿題のときに怒っているな。
→なぜ?難しいからかな?遊びたいからかな?
どこかにつまずいているんだろうな。
→つまずきポイントはどこだろう?消しゴムを使うのが苦手なのかな?
とにかく、やりたくないんだな。
→努力負荷の高いことがストレスになるのかも?今日は授業が6時間目まであったし…
このように推理していくと、少しずつ息子のタイプが理解できるようになってきました。
もちろん大人も子どもと一緒で、脳の感情系エリアの活動が活発なときに、思考系エリアは働きません。
子どものイライラに巻き込まれないよう、ちょっと遠いところから映像を傍観するイメージで子どもを観察してみてくださいね。
こちらもおすすめ!ママのイライラの原因はPMS?感情コントロール術を大公開▼▼
ステップ2◆仮説は正しい?言語化して聞いてみる
息子は、言葉の発達が遅く、小学校1年生になってもうまく自分のことを言葉で表現する力を持っていませんでした。
息子のイライラは、自分の気持ちをうまく表現できない…というもどかしさのような感情もあったと思います。
イライラの出やすいお子さんは、もしかしたらこのようなタイプも多いかもしれません。
子どもの様子を観察し、ある程度仮説を立てて、こう思っているのかな?それともこうかな?とお母さんが言語化して聞いてみてください。
わが家の例で言うと、
「宿題やりたくないって思ってるんだね」
「でもやらなくちゃって気持ちもあるんだ?」
「簡単にできなかったら疲れるなぁって思うよね」
といった風に、考えていることを聞き出しつつ気持ちを整理していきました。
「いや、そういうことじゃない…」という場面もありましたが、「そうそう、それ!それが言いたかったの!」とヒットな反応が返ってくることもありました。
このヒットな反応を頼りに、イライラの分析を続けました。
ステップ3◆共感し、「じゃあ、どうする?」
こうしていくことで、私自身が息子を理解すると同時に、彼も少しずつ脳の感情系エリアを落ち着かせ、理性の脳(思考系エリア)を働かせることができるようになってきます。
あくまでも子どもの感情系エリアを落ち着かせることが目的ですので、「いやいや、きっと先生はこんなことが言いたいんじゃない?」といった大人の正論は一旦わきにおくことがおすすめです。
子どもが感じていることに対して、「それは嫌だなって思うよね」という共感の姿勢をくずさない会話を意識してくださいね。
遠回りに思えても、長期的に考えるとイライラの気持ちを抑える効果は高いと感じています。
さぁ、ここからは「じゃあ、どうする?」です!イライラの原因が分かってくると、ひとつひとつ解決に導く手立てを考えることができます。
「こうでなければならない」というカチコチの考え方は長所!?こだわり体質は才能です▼▼
ワーキングメモリーの弱さからくる学習の苦手さはこちらの方法で解決に導こう▼▼
今日はどの声かけにする?楽しい気持ちで宿題を始めるメリットも▼▼
おうちでのカウンセリングをベースにして、イライラの原因となるものへの対応を続けた結果、息子の「イライラする~!」発言は見事にゼロになりました。
今は自分から進んで穏やかに宿題を始めるようになっており、わが子の成長に感激しています。
子どもの宿題イライラ問題にお悩みのお母さんは、ぜひ、試してみてくださいね。
執筆者:大塚 ひかり
▼子どもの脳を育てたいあなたへ。こちらのメルマガで情報発信中!